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作成日:2011/07/12
【労働判例H22.7.2】事業場外みなし労働時間制の適用にはどのような条件が必要か



【事案の概要】
 添乗員派遣などを業とする会社に派遣添乗員として雇用された労働者が時間外・休日労働割増賃金を請求した事案である。本件の派遣添乗員は、H社主催の企画旅行であるフランスおよび南フランス・イタリアの添乗業務について会社と労働契約を締結し、会社からH社に派遣された。
 派遣添乗員の派遣社員就業条件明示書には、就業時間・休憩時間について、「原則として派遣先旅行業約款に旅行者に対する添乗サービス提供時間として定められた午前8時から午後8時までとする。但し、実際の始業・終業・休憩時間については派遣先の定めによる。又、具体的には添乗業務の円滑な遂行に資するように派遣添乗員が自己責任に於いて管理する事が出来るものとする」と記載があった。

【裁判所の判断】
@事業場外みなし労働時間制とは
 事業場外みなし労働時間制は、事業場外業務に従事する労働者の実態に即した合理的な労働時間の算定が可能となるように整備されたものであり、言い換えると、事業場外での労働は労働時間の算定が難しいから、できるだけ実際の労働時間に近い線で便宜的な算定を許容しようという趣旨である。

A「労働時間を算定し難いとき」
 みなし労働時間制が適用される「労働時間を算定し難いとき」とは、この制度に関する行政解釈を参考とすると、自己申告制も含めて、使用者が、自ら現認することにより確認し、記録することができないとき、またはタイムカード、ICカード等の客観的な記録によることができない場合である。

 本件においては、派遣添乗員は、会社から貸与された携帯電話を所持していたが、立ち回り先に到着した際に必ず連絡したり、指示を仰ぐなど随時連絡したり、指示を受けたりしていなかった。派遣添乗員は、会社に出社することなくツアーに出発し、帰社することなく、空港から帰宅していた。日程表などの記載はおおまかなもので、そこから労働時間を正確に把握することはできない上に、現場の状況で、観光する順番、必要な時間、さらには帰国する飛行機を変更することもあった。これらによれば、本件添乗業務は、「労働時間を算定し難いとき」に該当する。
 
 また、労基法第38条の2但し書きの業務の遂行に通常必要とされる時間とは、各日の状況や従事する労働者等により実際に必要とされる時間には差異があっても、平均的にみて当該業務の遂行に必要とされる時間を意味する。そして、本件の業務執行に通常必要とされる時間は、派遣社員就業条件通知書や業務日誌などから推認すると11時間と算定される。この結果、1日3時間が法定時間外労働となり、その部分の割増賃金の請求が認められた。
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