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作成日:2011/07/29
【労働判例】 賃金改定、個別同意と賃金規程どちらが有効?



【事案の概要】

Y会社は、経営不振を理由として、課長以上の役職者について賃金の引下げを行うことを決定し、平成13年7月18日に、社付担当部長の職にあったXに対し、同月分以降の賃金を20%減額する旨を通告して理解を求めた。Xはこれに対し、会社の状況は理解できるが遡っての賃金減額は違法である等の抗議を行ったものの、上記通告どおりに減額して支払われた7月分以降の賃金を特に異議を申し出ることなく受け取っていた。

その後、Xは、Yが行った賃金減額は違法であるとして、平成13年7月分以降に行われた賃金減額分の支払いを求めて提訴した。

なお、Yの就業規則の一部である賃金規程の18条には「月の途中において基本賃金を変更又は指定した場合は、当月分の基本賃金は新旧いずれか高額の基本賃金を支払う」との定めが存在する。

【判決の概要】

労働者側勝訴(平成13年7月分の賃金減額についてのみ違法と判断)

Xは、減額された7月分の賃金を平成13年7月25日に異議を述べずに受け取り、翌月以降も減額された賃金を異議を述べずに受け取っていたこと等からすれば、7月25日の時点で7月分以降の賃金減額に同意したと認められる(原判決の認定判断を支持)。

上記の同意には、7月1日から24日までの既発生の賃金債権のうち20%を放棄する趣旨と、同意の日である7月25日以降に発生する賃金債権を20%減額する趣旨とが含まれていることになるが、このうち前者の部分は、賃金債権放棄の要件を満たさず無効である。

また、後者の部分のうち、7月25日から7月31日までの賃金減額に同意する部分についても、Yの賃金規程18条によれば、7月中の賃金額は、より高額である減額前の賃金額となるのであるから、労働基準法93条(現労働契約法12条)により、Xは、7月31日までの賃金について、賃金減額に同意していたとしても、減額前の額の支払いを求めることができる。

 

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