組織の活性化
組織の活性化

2013/10/28 アメリカ海軍協会著 「リーダーシップ」 

 本書は米国海軍の士官候補生を対象としたリーダーシップ教本です。原著は米国で1959年に出版されました。邦訳は81年に発行され、35刷を重ねてきたベストセラーになっています。その事実は本書が軍事にかかわる人だけではなく、ビジネスをはじめとする様々な分野で組織を東ねる必要がある人々に読み継がれてきたことを物語っています。  

 軍には、科学的な発明がなされるに従って新たな兵器が導入されていきます。海軍の士官は、企業でいえば課長に相当する役職といえると思いますが、新たな兵器が導入されれば当然、それを使いこなすための技術的な習熟、新たな戦闘力を生かす戦術や戦略に対する理解が求められることになります。

 しかし、本書はそれらにもまして「武器をとることを専門とする職業」には「人間という要素」が重要と断言します。どんな新兵器が導入されても、軍事行動に直接携わる人は不安や恐怖から逃れられないでしょう。その中でもりーダーである士官は部隊の希望や勇気を引き出し、士気を高めることが要求されます。

 このため、士官には人間を深く洞察し、部下や組織に対して影響を及ぼす「良きリーダーシップ」が常に必要になると本書は指摘します。

 「良きリーダーシップ」は様々な環境変化の中で発揮することが求められます。絶えず新しい兵器が導入され、同時に上層部が命令する新たな戦略・戦術にも従わなければならない中で、士官は先を見通し、集団を束ね、日々の状況変化に対して先手を打っていくことが欠かせないのです。 

 企業にも非常に似たことがいえます。グローバル化やIT(情報技術)革命の進展によって経営環境は流動化し、企業間の競争は激化しています。リーダーが従来のやり方に固執する企業は淘汰される一方、組織を束ねて新たな環境に挑戦することに成功した企業が成長していくのです。 
高野 研一氏著述より





2013/10/26 ハメルら著「コア・コンピタンス経営」〜強みは一夜にしてならず〜

 市場では多くの製品やサービスが顧客獲得を巡って激しく競争しています。そのような中、戦略分析は、特定の製品やサービス単位、あるいは事業単位で行うのが一般的になっています。しかし、企業間の競争はそれにとどまりません。

 例えば、自動車メーカーはクルマの個々のラインアップごとに競争しますが、日本や中国、北米などの地域ごとでも競っています。さらにエンジン技術や電子技術、ものづくりの仕組みや組織運営のあり方などでも激しく競っています。つまり競争は、製品対製品、業対事業にとどまらず企業対企業に及んでいます。

 製品のライフサイクルは今後一層短くなるでしょうが、企業対企業の競争は何十年にもわたり続くものです。その命運を左右するのが自社の強みであるコア・コンピタンスです。コア・コンピタンスは独創的な取り組みであり、一枚にしてできるものではありません。一事業部門の範囲を超えることも多く、企業単位の取り組みが必要となります。

 未来での成功を確実にするためには探索的マーケティングも必要です。それは速いペースで市場参入を積極的に繰り返すこと。これには2つの意味があります。1つ目は新しく姿を現す市場の理解を深めることができる点です。2つ目は失敗から学べることです。学習につながる失敗は、優れた企業になるための必要経費と考えるべきです。

 企業の競争優位の根幹は、他社にまねされない独自能力によって業界革新を起こすことにあります。その革新は目先の競争とは直接関係のないところで起こります。それゆえ有効な戦略は潜在的な顧客ニーズの考察、業界ルールを一変させるような洞察、組織をストレッチさせるような夢を含むものでなければなりません。未来に対する野心的な取り組みは決してリスクではなく、リスクヘッジなのです。






2013/10/2 ハメルら著 『コア・コンピタンス経営』〜ストレッチとレバレッジ〜

 企業は未来に向けた戦略設計図を持つ必要があります。戦略設計図が企業を未来での成功に導く道筋となるからです。しかし、それだけでは不十分です。未来に向けて組織を前に動かすためにはガソリンが必要となります。そのガソリンは社員の情熱と知的エネルギーです。

 社員の情熱と知的エネルギーを引き出すためには、夢に満ちた戦略方針という目標が必要となります。今の経営資源と目標の間に存在するギヤップが社員を駆り立てるからです。そして社員のストレッチが新しい能力をライバルより速く築き上げることに寄与します。それゆえ現在の経営資源・能力と目標の間に意図的な不整合をつくりだすことは、経営幹部の重要な仕事になるのです。

 これまで主流だった戦略論は市場や業界における成功の鍵と現在の経営資源との整合性をどうつくり出すかに重きを置いていました。ハメルらは、現在と未来との不整合に着目します。不整合がストレッチを生み、それが自社の強みである新たなコア・コンピタンスをつくると説いたのです。

 ハメルらは、ストレッチするのと同時にレバレッジすることも未来へ一番乗りするには重要だと言います。これはより多くのことをより少ない努力で成し遂げようという発想です。経営資源をレバレッジするためには、それに活用できる技術、人、財務といったコア・コンピタンスの観点から企業を見ることが大事になります。また、今の経営資源の制約が未来の業界における主導権構築の制約になるという発想も捨てる必要があります。そうでなければ欧米企業に打ち勝ってきたトヨタ自動車やキヤノン、コマツなどの成功を説明できないと主張します。

 このように、経営資源をどう蓄積するかいスキルや能力をどう再利用するかを意識することも、経営資源の配分の問題を超えた戦略の大切な一要素なのです。 
平井 孝志氏著述より

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2013/9/18 ハメルら著「コア・コンピタンス経営」〜主導権創造へ戦略つくり直し〜 

この本の原題は「未来のための競争」というものです¨原題が示すように主題は会社の戦略を練り直し、業界の再構築をして、未来の事業構築に向けた処方箋を議論することにあります。ハメルらは、業界の競争ルールを変える新興企業の追随者になるべきではないと警鐘を鳴らしています。

 未来のための競争に勝つには、会社は主導権を創造しなければなりません。主導権を創造するためには業界をつくり直さなければならない。業界をつくり直すためには会社の基本戦略をつくり直さなければならないとハメルらは主張します。それゆえ、経営幹部の一義的な役割は、基本戦略のつくり直しになります。基本戦略のつくり直しには3つのことが必要となります。現在まだ生き延びた会社には、必ず成功体験があります。それは経営幹部を慣習に縛りつけ、過去の戦略を正当化する妄信を生み出します。しかし、過去の成功パターンが将来の成功パターンになることを誰も保証してくれません。

 次にしっかりと未来をイメージすることです。例えば、CNNはニュースが24時間流れている世界をイメージしました。さらに昔に遡ると、モトローラは電話番号が場所ごとにではなく個人についている世界を、ボーイングは一般大衆が空の旅を楽しむ世界を、フォード・モーターは各家庭に1台の車がある世界をイメージしました。未来をイメージするためには子供のように純真な目を持ち、既存製品のコンセプトに縛られない大胆な発想が大切になります。

 最後に、企業の持つコア・コンピタンスを土台に戦略設計図を描くことです。戦略設計図は、現在から未来に向けた道筋です。その際に必要となる能力は、建築家がまだこの世の中に存在しない建物を心に描くような想像力です。新しい事業の失敗の一異には、この未来への展望づくりの段階での失敗が潜んでいることが多いものです。 




2013/9/18 ハメルら著「コア・コンピタンス経営」〜長期的繁栄もたらす視点〜

  「コア・コンピタンス経営」は経営学者のG・ハメルとC・K・プラハラードが1994年に著しました。そこで議論されているのはコア・コンピタンスに基づく戦略論です。コア一コンピタンスとは、顧客に価値をもたらす他社にまねできない企業の中核力です。それは自社の持つ一連のスキルや技術の固まりとして捉えられます。

  この本が出版された90年代、IT(情報技術)を使って業務プロセスを抜本的に見直すビジネス・プロセス・リエンジエアリングという経営手法や、企業をダウンサイジングするリストラクチャリングが注目されていました。ハメルらはそれらの重要性を認めつつもそれだけでは不十分だと主張します。企業が何十年も成功を繰り返すためには、コスト削減だけではなく省益拡大の方がより重要だとときました。

  コア・コンピタンスという自社の強みに着目することによって、そこから何ができるかといつた未来の可能性を模索する姿勢が生まれ、成長につながるとみたのです。

  これまでの戦略論はどちらかというと、従来の業界の枠組みにおける企業のポジションに焦点があてられていました。これは、魅力的な業界はどこか、そこでどんな競争優位を構築するのかという考え方です。その基本思想は「どこで戦うか」にあります。マイケル・ポーターがこの考え方の第一人者です。 一方、コア・コンピタンス経営の基本思想は「何を武器に戦うか」にあります。これは資源ベースの戦略論と呼ばれる考え方です。

  企業に長期的な繁栄をもたらすためには、従来の業界の枠組みにおける市場を支配する競争戦略以上に、コア・コンピタンスで業界を再構築することがより重要となってくるのかもしれません。その意味では、企業をコア・コンピタンスという資源・能力の集まりであるという捉え方をして、明日に向けた競争に備えていくという認識も持つべきでしょう。
平井 孝志氏著述より

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2013/9/18 シャイン「組織文化とリーダーシップ」

 シャインが本書でいう組織文化は、うまく機能すれば、企業が成長するための強力なエンジンとなります。組織文化が組織の中にいる人々の認知や思考、行動に強い影響を与え、ある方向に社員のエネルギーを集中させるからです。

 しかし、ある時点でつくられた組織文化は、その当時の環境や、その環境のもとでの成功体験、創業者の価値観を反映したものです。同じ経営環境が続いている間は組織文化は成長に効果的に働きます。ところが、経営環境が変化すると、経営環境と組織文化の間にギャップが生まれてしまうのです。

 そのような意味で、汎用的な「よい組織文化」、「わるい組織文化」というものは存在しません。組織文化がその期御油の外部環境や内部環境にあったものえあるかどうかが肝心なのです。

 さらに、組織文化のやっかいな点は、組織の中にいる人々に、共通の「メンタルマップ」(認知や思考の枠組み)をつくってしまう点にあるとシャインは説明します。経営環境が同じうちはいいのですが、経営環境が変わると、メンタルマップが成長にマイナスに作用する場合があります。

 例えば、新たに起きている変化を事実として受け取らず、自分たちの前提認識に沿った形へと転換して認識したり、場合によっては事実を歪曲(わいきょく)したりするおそれがあります。そうなると、企業は経営環境の変化に対応することは到底できませんし、変化が起きていることすら認識できなくなってしまうこともありえます。

 経営環境は大きく変化しているのに、その現実を認めることができなければ、対応の遅れにつながる可能性が高まります。また、仮に環境変化を認識し新たな戦略を構築するに至っていても、組織文化によって強固につくられた価値観や行動は、簡単に変わりません。強い組織文化が変革への大きな足かせとなる可能性もあるのです。 
永田 稔氏著述より

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2013/9/12 シャイン「組織文化とリーダーシップ」〜解凍・学習・再凍結の3段階

  経営環境が大きく変化しているときに、リーダーはどうすれば「古い組織文化」を壊し、新たな競争力となる「新しい組織文化」をつくれるのでしようか。新たな組織文化をつくり、社員の思考、行動を変えるには一定のプロセスが必要となります。シャインは、そのプロセスを3つの段階に分けて解説しています。

 第1段階は古くなった組織文化を「解凍」する段階です。そのためには@現在の考え方、やり方はもはや通用しないとメンバーが理解するA自分たちが変わらないと、さらに状態が悪くなるという危機感を共有するB新しいやり方を学ぶことは可能であり、そうすれば目標も再び達成可能となるとの気持ちを持つ――ことが求められます。

 この解凍プロセスを経ることは、組織内に不安を生み、変化への抵抗勢力を形成するおそれもあります。そこで、リーダーは、組織のメンバーに事実を理解させる一方で、不安を和らげながら解凍プロセスを進める必要があります。

 第2段階は、新たな考え方、やり方を「学ぶ」段階です。どの方法がよいのか試行錯誤を繰り返し、新たな方法を学習してゆく段階です」ここで、社員は今後どのような役割を果たすべきなのか、そこでどのような行動をとるべきなのかを学ぶのです。そのために、新たなトレーニングや報奨のシステムが必要となります。リーダーは人事制度を新たな考え方、行動を後押しするものとして機能させます。

 第3段階は、新たなやり方を新たな文化として「再凍結」させる段階です。新たな仕事のやり方を、組織に根付かせるには「この方法でうまくいくのだ」とメンバーが納得する必要があります。そのためには、新たなやり方で「成功する」「成果をうむ」ことが必要です。その結果、新たな成功の方程式が生まれ、他のメンバーもまねをして新たな組織文化として定着するのです。 永田 稔氏著述より

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2013/8/14 シャイン「組織文化とリーダーシップ」〜共有される成功体験 グループ導く前提認識に〜

  本書がいう組織文化とは「グループによって学習された、共有される前提認識のパターン」であり、組織の力を強めるものです。シャインは組織文化がなぜ生まれ、組織の中に定着していくのかについても分析しています。

  組織が生まれた際には、創業者と初期のメンバーがいます。この時点では、まだ組織文化は存在しません。そのうち、創業者を中心に事業が始まり、成功、失敗体験を積みながら、組織は徐々に成長していきます。その過程で、特に成功体験は「このようにやればうまくゆくのだ」と組織の中に共有され、パターン化されていくとシャインは指摘します。例えば、個人のアイデアのみで開発した製品詰めが甘く失敗したとします。ところがグループでアイデアを吟味することによって、素晴らしい製品ができて売れ行きもよかったという結果になりました。こうした失敗や成功の体験は組織の中に強い学習効果をもたらします。「そうか、個人のアイデアを徹底的に議論することが成功への道なのだ」という前提認識が組織の中に共有されるのです。

  さらに、その成功や失敗の体験に創業者の価値観が反映されます。創業者がグループでの議論は有用であり効果的であるという価値観の持ち主の場合、そうした行動を奨励し、実際に行動する人を処遇することで、その前提認識は強固になっていきます。

  さらに、人間の性質の一つとして「安定」に対する欲求があります。無秩序な状態は人間を不安にするのです。そのため、人間にはものごとを秩序だてることで不安感を取り除こうと行動することが分かっています「この行動が成功体験のパターン化を促すとシャインは論じます。そこに創業者の価値観の反映が加わり、組織文化への形成につながります。こうした組織文化の形成は勝利の方程式となり、組織を強力に成功に導きます。 
永田 稔氏著述より

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2013/8/14 シャイン「組織文化とリーダーシップ」〜前提認識の共有 組織の行動や思考に影響〜

 本書は米経営学者のエドガー・シャインが1985年に発表した組織文化論の古典的名著です。なぜ部下は上司のいう通りに行動をしないのか、企業の変革はなぜ困難なのか、ある組織は信じられないような失敗をなぜ犯すのか。シャインはこうした企業組織にしばしばみられる現象を「組織文化」という概念を基に説明しています。

 組織文化は抽象的で提えにくいものですが、組織やその中にいる人たちの、もののとらえ方、考え方、行動の仕方に大きな影響を与える力「フォース」であるとシャインは述べています。そのうえで組織文化を「グループ」によって学習された、共有される前提認識のパターン」であり、「問題に接した際、認識し、思考し、感じ取る際の適切と思われている方法である」と定義します。

 言い換えればシャインのいう「前提認識」とは、組織が共有する価値観です。それは、市場や顧客、競合など外部環境に対する「ものの見方」や「受け取り方」、会社内における「仕事の進め方」から組織の中での「振るまい方」など、その組織に属する社員が共有して持つ思考、行動に影響を与えるものでもあります。   

 例えば、ある会社では、新しいアイデアを個人が示すと、激しい議論をするのが当たり前になっています。これは、その会社における「前提認識」が「個人はアイデアと起業家精神の源であるが、誰ひとりとして自分自身のアイデアを評価できるほどに優秀ではなく、他の人たちとの議論、賛同を経てアイデアは洗練される」というものだからです。     

 こうした前提認識が社内にあるために、この会社では個人はためらいなくアイデアを出し、それに対し周囲は遠慮なく議論をしかけてゆくのです。この前提認識に基づいて共有された行動が、この会社の組織の力を強め、革新的な製品を生み出す源泉になっていたのです。
永田 稔氏著述より

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2013/8/14 スマイルズ著「自助論」〜真の知識と経験 一生を通じて唯一の財産

  自らの汗と涙で勝ち取った知識ほど強いものはありません。学校教育は勉強の習慣をつけるという意味では価値がありますが、人は自ら能動的に学ぶことで、はるかに多くのものを得ます。「鉄が熱いうちに打つ」だけでなく「鉄が熱くなるまで打つ」。すなわちどんな機会も逃さず、努力し続けることが、卓抜な技量、大きな成果を得るために必要なのです。

 ここでいう知識は、人を追い抜くための手段になったり知的遊戯の道具として人を満足させてくれたりするものではありません。自己修養を通じて得た優れた知識、知恵や理解力は、人生の高い目的を追求するための活力源となり、人格や精神を豊かにすると、本書は説きます。

 知識からの実りをより大きく生かすためには、失敗から学ぶこと、よき師と友から学ぶことが重要です。挫折や失敗の克服から人間は多くを学びます。「何を行うべきか」に気づくのは往々にして「何を行ってはいけないか」を悟るときです。また、人格教育の成否は、誰を模範にするかによって決まります。その意味で、よき師や友は、人が成長するうえで最高の宝ですし、家族ら身の回りの様々な人々も、人生の良き指標となります。

 こうした真の知識と経験、よき師や友が育ててくれる人格こそ、 一生通用する唯一の財産であると、スマイルズは主張します。「君子」という言葉は本来、地位や権勢の象徴ではなく、真の人格者を指します。空高く飛ぼうとしない精神は、地べたをはいつくばる運命をたどるのみです。人格こそが、困難に際しても人を誠実かつ前向きにさせてくれます。

 旧約聖書では真の人格者は「まっすぐ歩み、義を行い、心の真実を語る」とされます。不断の修養で身につけられた人格や礼節、洗練された態度こそが、人々の尊敬を集めヽさらなる自己修養と克己心、勇気や優しさの源泉にもなるのです。 




2013/8/8スマイルズ著「自助論」〜成功を支えるもの 実務能力と日々の節約〜

  スマイルズは、自助の精神の具体的な実現のかたちを、時間と金の観点でも説いています。

 時間の知恵は、ビジネスを例にとって語られます。古来、偉人と呼ばれる人々は、高貴な目標を追求しながらも、生計を立てるための仕事を軽視しませんでした。シェークスピアは劇場の支配人として成功し、ニュートンは有能な造幣局長官、植物学者ナンネは靴作りの職人でした。

 ビジネスを成功させる6つの原則には、注意力、勤勉という点に加え、正確さ、手際のよさ、時間厳守、迅速さといった時間に関するものが含まれます。そして、今日なすべきことを明日に延ばさないこと、現状に満足して無為に生活せず、 一日一日積み重ねていくことが重要とされます。

 向かうところ敵ない、とされたウェリントン将軍が戦績をあげられたのも、直観力や計画を断固やりぬく強い意志に加え、物事を運に任せない綿密な「実務能力」があったからです。科学技術でも芸術でも政治でも、「実務能力」のない者に成功はありません。

 金の知恵の重要性も論をまちません。どのように金を手に入れ、蓄え、使うかは私たちが人生を生き抜く知恵をもっているかどうかの最大の試金石です。悪いのは金そのものではありません。金に対する間違った「愛情」こそが諸悪の根源であり、この間違った愛情は、心を狭め、萎縮させます。

 家族を満足に養うには金が必要です。しかし、社会に本当に影響力を持つ人間は、必ずしも金持ちとは限りません。人生の最高の目的は、人格を強く鍛え上げヽ可能な限り心身を発展向上させていくことです。金はそのための手段であり、目的ではありません。

 こうした思想に基づき、スマイルズは節約の重要性を強調します。節約は思慮分別の娘であり、節制の姉、自由の母である、要するに節約とは自助の精神の最高表現である、とスマイルズは説いています。 




2013/8/1 スマイルズ著「自助論」 〜好機を手にできる人 活路を開く意思と目的〜

大きな成功をもたらす好機・幸運は、常に手の届くところで私たちを待つています。問題はそれが見えるかどうか、それを機敏に捉えて実行に踏み出すかどうかです。そのために必要なものは「常識や集中力、勤勉、忍耐力のよう平凡な資質」であるとスマイルズは指摘します。

例えば、ニュートンは重力の問題に長年専心もてきたからこそ、目の前にリンゴが落ちるのをみてひらめき、万有引力の法則を理解しました。大航海でなかなか陸地が見つからず、船内が険悪化する中、コロンブスは船尾に漂う海草から陸地の近いことを発見し、船員の心を静めました。

これらの事例を踏まえて、本書は「賢者の目は頭の中にあり」といいます。思慮の浅い人間には何も見えなくても、聡明な洞察力を開こうと努力を続ける人は、目の前の事物に深く立ち入り、その奥に横たわる真理にまで到達し、好機を手にできるというのです。

向上意欲の前には限界はありません。無心の自己修養と克己心が、人間をどこまでも前進させます。万人に平等な磯会が与えられている学校教育などより、苦行と呼べるほど自ら一心不乱に打ち込んだ自己修養の方がはるかにオ能を高める役に立ちます。成功に必要なのは「道なくば道を造る」という意志と活力、そして意志に与えられた正しい目的・方向性であると本書は結論づけています。    .

しかし、意志は善悪を問わず突き進むため、そこに正しい方向性を与えることが必要です。「不可能という言葉は、愚者の辞書に見ゆるのみ」と言ったナポレオンは、強い意志と活力の塊でしたが、善と結びつかない権力であったがゆえに、自らを破滅させました。

対照的に、探検家でアフリカの奴隷解放にも尽力したリビングストンの意志、活力、功績は、今も世界の人々から称賛されています。



2013/7/25 スマイルズ著「自助論」 〜真の成長の礎 途切れぬ努力と快活さ〜 

「自助論」は英国の作家、サミュェル・スマイルズが1850年代後半に著しました。日本では明治維新直後に発行され(明治時代だけで100万部以上売れたとされています。様々な分野で活躍した人々の事例や言葉を引用しながら、自助の精神の重要性を訴えます。「天は自ら助くる者を助く」という序文はあまりにも有名です。

人生は自分の手でしか開けない、自助の精神こそが人間が真の成長を遂げるための礎になると、本書は説きます。シェータスピア、コペルニクスなど、過去の偉人はみな途切れることなく努力しています。こうした努力を促すという意味では、貧しさや困難も、人間の成長には恵みとなります。大数学者のラグランジュも「私が裕福だったら、おそらく数学者などにならなかったはずだ」と述懐しています。

天オとは奮励努力しようとする意欲であり、忍耐そのものです¨万有引力の法則など、多くの発見を成し遂げた理由を聞かれたニュ=トンは「いつもその問題を考え続けていたから」と答えました。スチーブンソンは蒸気機関車製造の第一人者になるまでに15年余り、ワットは蒸気機関の改良研究に30年を要しています。

根気強く待つ間も、快活さを失ってはなりません。快活さは、どんな逆境にあっても希望を失わず「逆境を逆境としない」生き方をもたらしてくれます。一度希望を失えば、何をもってしてもそれに代えることはできません。どのような仕事でもそれを好きになるように心がけ、自分自身を慣らしていくことが必要です。

逆に、外部からの援助は、努力や忍耐を阻害し、人間を弱くします。自助の精神がなければ、法律や政治も、人間や国家の成長をもたらすことはできないのです。人や社会の本質をとらえているからこそ、本書は現在の私たちに自己研さんを促す1冊として読み継がれているのです。
奥野 慎太郎氏著述より

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2013/7/9 キムら著 「ブルー・オーシャン戦略」〜従業員のコミットメント〜

 「リーダーにしかできないことはあるが、リーダーだけでは何もできない」といわれます「戦略の実行はリーダーだけの問題ではありません。「ブルー・オーシャン」戦略だけではなく、どんな戦略も従来のやり方を変えるという意味で、リスクを伴います。そのリスクに正面から向き合い、実行するためには従業員のコミットメントが不可欠です。

 キム教授らはそうしたコミットメントを生み出す源泉が公正なプロセス(ProceduralJustice) であると主張し、鍵となる要素として3つのEをあげます。@ Engagement(関与)A Explanation(説明)B clarityofExpectatio(明確な期待値)です。

 つまり、従業員一人ひとりが意見を言う機会があるなど深く関与でき、経営者の狙いが説明され、どのような目標・成果が期待されているかを明確に示されるとき、戦略の実行度は高まるということです。逆に言えば、どれか一つが欠けても戦略の実行は中途半端に終わるでしょう。 

 さらにその背景にあるのは、単なる「アメとムチ」ではなく、従業員と経営の信頼、著者の言葉を使えば「感性」で信じるということです。人間の組織でしばしばできそうにもないことができたり奇跡が起こったりするのは、「知性」を超えた部分、つまり「感性」が果たす役割が大きいのではないでしょうか。

 そう考えてみると、「戦略」が手段である以上、赤か青かと同じかそれ以上に、戦略によって何を達成したいのか、つまり「会社の目的」「夢」がどれだけ社内で共有化されているのかが大切だというポイントに行き着きます。公正なプロセスとは、そうした夢を実現するために、会社があらゆる努力をしているのだと従業員に知ってもらうためのコミュニケーションなのです。
清水 勝彦氏著述より

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2013/7/9 キムら著 「ブルー・オーシャン戦略」〜組織の急所に資源集中〜

 どんなすごい戦略も実行されなくては意味がありません。逆説的ですが、「ブルー・オーシャン」戦略が必要な企業ほど古い市場の考え方、これまでのやり方に凝り固まっており、せっかくのいいアイデアを生かせないことが多いのです。では組織を率いるリーダーはどうしたらよいでしょうか。

 最も大切なのは「資源の少なさや抵抗を言い訳にしないこと」です。組織改革にしても新しい戦略の実行にしても、抵抗があるのは当たり前。できない言い訳にしてはなおさらだめです。キム教授らは4つのハードルがあるといいます。@意識のハードルA経営資源のハードルB士気のハードルC抵抗、政治的なハードルです。

 そうした4つのハードルを乗り越えるのがティピング・ポイント・リーダーシップです。それは「どのような組織でも、一定数を超える人(一般に2割などといわれます)が信念を抱き、熱意を傾ければ、そのアイデアは流行になって広がっていき」のを認識し、「拡散でなく集中」を考えるリーダーのことです。

 1994年にニューヨーク市警本部長になって治安を劇的に良くしたビル・ブラットンが分析されています。最初の成功要因は数字ではなく現実を肌で感じさせたことです。例えば、数字を振りかざす市警の幹部に実際に地下鉄に乗らせました。次に小さな犯罪を見逃しませんでした。さらに重点領域に資源を集中し、影響力の強い中心人物に徹底して働きかけました。当事者の行動が目立つようにし、目標を細分化し具体的な目標に落とし込むことなどにも取り組みました。要は「組織の急所」は何かを見つけ、そこに集中するということが大事です。

 根本にあるのは、細部を見逃さないことと、抵抗を恐れないことです。そして、抵抗とは、リーダーの本気度を試すリトマス試験紙の別名であることも忘れてはなりません。
清水 勝彦氏著述より

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2013/7/9 キムら著 「ブルー・オーシャン戦略」〜どこで勝ち、どこで負けるか

 戦略を考えるとき、自社の強みと弱み、競争相手の強みと弱みをはっきりさせることが必要です。戦略を限られた資源をどのように配分して競争に勝つかであるとすれば、自社の強みに集中することが最も効率が良いからです。

 それでは、自社や競争相手の強み、弱みをどのようにして分析すればよいのか。これは結構難しい問題です。明らかに特許や商品力で優れている場合もありますが、組織の能力はそうした商品、サービスを生み出す「プロセス」にあることも多いからです。

 そうした分析をするツールの一つが、本書が提案する戦略キャンバスです。それは横軸に競争要因(基本的には顧客が価値と思う要因)を並べて、競争相手と比べてどの点が優れ、どの点が劣っているかを「見える化」することです。こうした基本的な分析ができている企業は意外に少ないのです。    

 キム教授らは、この戦略キャンバスと要因にどのような言葉が使われるかから良い戦略と悪い戦略の特徴が分かるといいます。良い戦略の特徴は@メリハリA高い独自性Bそれらをふまえた訴求力のあるキャッチフレーズーだと指摘します。

 一方、悪い戦略の特徴は@利益につながらない過剰奉仕A 一貫性の欠如B内向きの言葉遣いなど― です。社内で使われている「言葉」が、その会社の体質・文化を反映しているというのは大変、興味深い指摘ではないでしょうか。

 2本の折れ線グラフを見てリーダーは何を考えなくてはならないか。どこは負けてもいいか考える」。そう言ったのは、コマツの現相談役・特別顧間の坂根正弘氏です。私の知る限り、「負けてもいい」といった経営者は坂根氏だけです。「ブルー・オーシャン」に限らず、戦略とはそういうものです。コマツのように「ダントツ」の強さを発揮する企業になるには、どこかで負けなくてはならないのです。

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2013/6/15 キムら著 「ブルー・オーシャン戦略」

 「競合との正面対決でへとへとになっていませんか」。本書の基本メッセージを一言でまとめればこうなります。こうした状態を仏ビジネススクールであるINSEADのキム、モボルニュ両教授は「血みどろのレッド・オーシャン」と呼びます。そのうえで、そこから抜け出すための新しい市場「ブルー・オーシャン」を生み出すことの必要性を説くのです。

 200 5年にベストセラーになった本書の骨格は、1990年代後半から00年代前半までにハーバード・ビジネス・レビュー誌に掲載された3本の論文です。今回はまず「ブルー・オーシャン」そのものについて考えます。

 企業戦略の源はクラウゼビッツ、毛沢東で有名な戦略論です。結果として「戦略とはる一定の限られた土地をめぐって敵と向き合うことを意味する」と思い込んでしまうのだと著者は指摘します。つまり、境界の決まった市場で競合相手と正面対決することを前提とし、戦略といっても結局消耗戦に陥ることが多いというわけです。企業はそうした「レッド・オーシャン」では労力の割に利益もあがりません。

 従って、競争をしないこと、少なくとも当面は競争相手の存在しない新しい市場を作りあげることが必要だというのです。それは多角化とは少し違います。多くの場合の多角化とは、自社にとっては新しい市場であっても、すでに市場として存在し、競合相手もいるからです。

 ただ、「へとへと」になるのは単に消耗戦になるからではありません。どこにいくのかわからない、つまり「夢」とか「希望」がないときに「へとへと」になるのです。「レッド・オーシャン」であっても、企業の目標が明確でそれが共有されているとき、喜々として競争に向き合う社員がいることも忘れてはいけません。「戦略より戦闘」を言葉にしていたリクルートは、その実例といえるでしょう。 
清水 勝彦氏著述より

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2013/6/15 ポーター著「競争優位の戦略」〜正面衝突を避ける〜

 ポーターの理論は、ポジショニング学派との呼び名にもあるように、競争の激烈でないところに陣取ることを説く内容だと思われています。確かに同質的な競合がひしめいていては、価格競争に陥りやすぐ、利益は上がりません。しかし、本書の最終章では、業界リーダーに対する攻撃戦略を説いています。

  ただし、ポーターらしく、「似たような戦略で真っ向からぶつかってはならない」と述べます。攻撃戦略の基本条件とは@低コストか差別化の点で持続的な優位性を持つAそれ以外の点でリーダーの強みを生かせないようにするBリーダーによる報復ができないようにする―― という3つが必要と指摘します。

 米サウスウェスト航空などの格安航空会社は大手と異なるバリューチェーンによって抵コストを実現し、付加サービスを重視しない乗客には十分な程度のサービスで参入しました。報復防止の手段は備えていませんでしたが、固定費の重い大手は同レベルまで値下げできませんでした。

 リーダーを攻撃する道筋は3つあるとポーターは言います。1つ目は、まさに本書の主題であるバリューチェーンの再編成です。製品の改良のみならず、物流やサービスを改善したり、マーケティングを革新したりと、様々な打ち手を組み合わせることが可能です。

 2つ目は、競争の範囲(スコープ)を再定義し、正面衝突を回避することです。これにはあるセグメントに競争の舞台を狭める集中戦略や他事業との関連性を生かす水平戦略などが含まれます。

 3つ目は、より巨額の資金を投入することです。しかし、これは失敗の可能性が高いので、他の道筋を補完する場合にのみ意味があります。

 バリューチェーンの再編成が競争優位のために有効なことは、多くの実例から説明できます。この枠組みは今でも企業戦略の立案のために役に立っているのです。
岸本 義之氏著述より

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2013/6/4 ポーター著「競争優位の戦略」

  ポーターは本書でバリューチェーン(価値連鎖)の枠組みをもとに、事業をまたがる活動にも着目しました。それを水平(ホリゾンタル)戦略と名付けています。それまでの経営学では、事業部をまたがる本社の戦略は事業ポートフォリオの管理にあるとされていました。ポートフォリオの管理とは事業の買収や売却・撤退を前提としています。

 しかし、それだけでは、相乗効果(シナジー)という考え方が希薄化します。実際、1970年代ごろまでは非関連事業を買収するコングロマリットが成長モデルとして注目されていました。しかし、コングロマリット型は事業の寄せ集めにすぎず、買収前より業績がよくなるという効果が出ませんでした。そこで、企業は関連性の高い事業に絞り込むようになり、事業間の相乗効果への関心も高まりました。

 ポーターは事業間の相互関係として、まず有形の相互関係をとりあげます。事業部をまたがってバリューチェーンの活動のどれかを共同化できれば、優位性を生み出せる可能性が出ます。次に無形の相互関係に着目します。無形のノウハウも事業横断で共有できれば、優位性につながることがあり得ます。3つ目は、競争業者の相互関係です。競争業者も似た分野に多角化している場合、他の事業への影響も考慮することが必要です。

 事業間の相互関係を生かして優位性を構築するには、事業をまたがつたヨコ型(ホリゾンタル)の組織や仕組みが必要になるとポーターは言います。組織区分を大ぐくりにしたり、事業計画を立てる際に他事業との関係性を明記したりという工夫が必要になります。

 ちなみにポーターは、日本企業がこうしたヨコ型の組織運営にたけていると評価しています。日本企業の武器は、最初は低賃金、次に高品質・高生産性でしたが、将来は相互関係を基にした創造力が強みになるだろうと、85年当時のポーターは記していました。 
岸本 義之氏著述より

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2013/5/28 ポーター「競争優位の戦略」

マイケル・ポーターは本書で、バリューチェーン(価値連鎖)の枠組みに沿って社内の活動を理解すれば、コスト優位や差別化といった競争優位の源泉を具体的に特定できるとしています。

コスト低減というと、要素を細かく分解して、個別に改善することが一般的です。しかし、社内の活動を社外に出す方が低コストという場合もありえます。

複数の活動間の関係によってコストが変わる場合もあります。例えば、生産管理のコストを上げると、検品やサービスを効率化でき、総コストが減ることがあります。

バリューチェーンを根本から組み替えることもありえます。例えば米国のサウスウエスト航空は、大型空港をハブとする大手航空会社とは異なり、空港利用料の低い二次空港や中小都市を直行で結ぶルートを取り、顧答リーヒスを省略することで低価格戦略を実現しました。

差別化の源泉に関しても、バリューチェーンの特定の活動が鍵を握ることがあります。ただし、製品そのものの優位性による差別化だけでは、模倣されやすいという問題が起こりえます。チャネルの評判のよさで差別化が実現することもあります。チャネルとの良好な関係性を構築することは容易ではないので、後発の他社に模倣されにくいという利点があります。

複数の活動間の関係によって差別化につながる場合もあります。例えば、受注から納品までの時間の短さが重要視される場合、受注処理や社内連携のスピードが重要になります。

バリューチェーンの組み替えによる差別化として、自社製品を販売するだけでなく、関連する外部商品をワンストップで提供するという方法もありえます。これは顧客の利便性が向上するだけでなく、外部のサプライヤーに購買量を背景にして仕入れ価格を低減させるという効果もありヽ高いマージンが実現しやすくなります。 
岸本 義之氏著述より

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2013/5/14 ポーター「競争優位の戦略」〜バリューチェーン 事業の内部分析の枠組み〜

 マイケル・ポーターの「競争優位の戦略」は「競争の戦略」の続編として1985年に出版されました。本書で最も有名になった概念は「バリューチェーン」(価値連鎖)です。これは企業活動を購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスという主活動と、それらを支援する全般管理、人事管理、技術管理、調達という支援活動に分解しています。

 仕事内容を分解するだけなら誰にもできそうですが、ポーターはさらに持ち味である経済学的な分析の枠組みを適用しました。通常の経済学では、企業が分析対象となり、その内部の仕組みには立ち入りません。ポーターも「競争の戦略」では、事業単位で「ポジショニング」などの優位性の源泉を分析し、それ以上の内容には触れませんでした。

  一方、「競争優位の戦略」では、優位性が事業活動の中のどの要素からもたらされているのかを突き止めようとしました。例えば、主活動のどれを内製し、どれを外注するかが、戦略上の重要な意思決定になります。テレビを生産する場合、液晶パネルの製造能力に競争優位の源泉があると考える企業は内製を志向します。逆に、製造については台湾メーカーなどに外注し、自社は別の活動(ブランド・マーケティングなど)に競争優位の源泉を見いだす選択もあり得ます。

 企業が複数の事業部で同様の原材料を購買している場合、その強みが各事業部の競争優位の源泉になっている可能性があります。また、バリューチェーンの下流であるアフターサービスの分野で優位性を得ている企業もありますアフターサービスを通じて顧客との接点に優位性を得ることができると、好業績を持続しやすくなるメリットもあります。

 ポーターが本書で取り上げたバリューチェーンの枠組みは、今でも多くの企業が競争優位についての検討を深めるために用いています。 
岸本 義之氏著述より

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2013/5/14 センゲ著「最強組織の法則」〜全員が理解できる学習プロセス設計

 セングは本書の中で、現在のように変化の早い時代に対応するためには、全員が考えて全員が行動する「ラーエングオーガニゼーション」の構築による分権を進めることが重要だと主張しています。そのためにトップマネジメントは「思考力をつけること」「チーム学習能力を高めること」「共有ビジョンを描き浸透させること」が求められると指摘しています。

 組織を効率的に運営するためには、管理職の時間の使い方も重要です。学習することの重要性を認識しても、その時間を確保することは容易ではないからです。自分が必要だと思うことに時間を使えない原因は何か、どうしたら改善できるのかを分析し、自己の習慣を変える努力をすることが不可欠です。ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の重要性も見逃せません。組織の目標に注力するあまり、個人や家族が払う犠牲を考慮する余地がなくなってはいけません。

 分権化を通じて事業の責任が現場に移った組織では、リーダーはどんな役割を担うべきでしようか。センゲは「組織全体に目をくばり、指導理念や核となる価値観、使命を生みだし、ビジョンを常に発展させていくこと」だと主張します。組織をシステムとして捉え、それに変化をもたらす内外の諸力を組織全体が理解できるように学習プロセスを設計することが重要な役割となります。

 また、リーダーは必ずしも答えを知っている必要はなく、「学ぶことで、結果を達成するために必要な事柄が得られる」という自信を周囲に植え付けることができればよいと考えます。センゲは「人が後についていこうとする人物とは、何かの信念をもち、その信念に基づいて目的を達成する力を持つ人物である」と語ります。その中核となるものがラーニングオーガニゼーションの大切さを最も深く認識し、率先して学習する人であろうとする姿勢なのです。
森下 幸典著述より

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2013/4/25  センゲ著「最強組織の法則」 〜関連性と重要性から構造理解〜

 社会現象の因果関係は複雑化し、ビジネスパーソンが意思決定するために必要な情報量も急増しています。正しい判断をするためには、情報を整理し因果関係を把握するノウハウが不可欠です。

 センゲは本書で「システム思考革命」の必要性を唱え、学習する組織(ラーニングオーガニゼーション)の中核的な考え方として位置付けます。

 システム思考とは、物事の依存関係を確認し、全体の構造を見いだすことです。センゲは「木を見て森も見る」ことが必要だと主張し、ある個別の事象の原因を特定するだけでは済まないと指摘します。様々な事象の相互の関連性と全体の中での重要性を理解し、どの部分に働きかければ最も効果的に問題を解決できるのかを見い出すことが重要とみるのです。これを「レバレッジの原則」と定義します。

 ただ、効果的な作用点は通常見えづらいものです。また、経営管理における多くの施策は、それを実施すれば一度は業績が好転しますが、後に悪化しがちです。短期的に状況を好転させる方法はたくさんありますが、それだけで問題自体が消えたと錯覚してはならないのです。

 例えば、需要があるからと増産すれば、いずれ在庫や設備などの余剰に悩む可能性もあります。低価格で良いサービスを提供しているつもりでも、人材確保や教育を怠れば、価格も質も維持できなくなります。こうした点について、センゲは「スナツプショットとしての出来事よりも、プロセスや構造を見ることが必要」と指摘します。

 このようにヽシステム思考は全体を見るための考え方ですが、事象を正しく捉えるためには、戦略の結果をフィードバックする仕組みが重要となります。フィードバックを通じて、現場の最前線で発生する「遅れ」を適切に把握します。戦略を実行する場合、的確なフィードバックがタイムリーでなければ、致命傷になりかねないのです。 


2013/5/14 センゲ著「最強組織の法則」〜ビジョンを共有し全員でプレー〜

 セングは本書で「組織は個人の学習を通して学び、継続的な学習を追求することによって、ラーニングオーガニゼーションが生まれる」と述べています。ここでいう学習は、単に知識や情報を得るためのものではなく、真に望む結果を獲得するための永続的な能力開発のプロセスを指します。

 センゲは個人の成長と学習を「自己マスタリー」と定義し、能力と技術だけでなく、心の成長を含めて自己の能力を押し広げ、創造的な視点で生きることが大切だと説きます。そうした姿勢からは単なるアイデアではなく、必ず達成したいという強い欲求に基づいたビジョンが生まれます。組織の成長には、全ての職階に自己マスタリーを持った人材が必要です。

 「名案だというアイデアはどういうわけか実行されないことが多い」とセンゲは指摘します。それぞれの人の心の奥底に存在するイメージである「メンタル・モデル」と、新しい見識との間のギヤップが原因となります。リーダーはメンタル・モデルの存在を認識したうえで、どうそれを変化させ、アイデアを実行可能なものにするかを考える必要があります。

 組織の様々な活動への結東をもたらすためには「共有ビジョン」が必要であり、セングは「一人の人間のビジョンを組織に押し付けてはならない」と説きます。もちろん、最初は一人のアイデアから始まりますが、トップダウンでそれを押し付けるのではなく、理解者を増やす努力が欠かせません。共有ビジョンが普及すれば、それは企業の根幹をなす強固な価値観になります。

 共有ビジョンを持った組織のメンバーは、それぞれが一緒にプレーする術を知っていなければなりません。組織においては「チーム学習」をマスターすることが必要です。これにより、組織は複雑な問題に対応したり革新性や調和を生みだしたり、他のチームを育成したりすることが可能になるのです。 
森下 幸典著述より

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2013/4/25  センゲ著「最強組織の法則」 〜関連性と重要性から構造理解〜

 社会現象の因果関係は複雑化し、ビジネスパーソンが意思決定するために必要な情報量も急増しています。正しい判断をするためには、情報を整理し因果関係を把握するノウハウが不可欠です。

 センゲは本書で「システム思考革命」の必要性を唱え、学習する組織(ラーニングオーガニゼーション)の中核的な考え方として位置付けます。

 システム思考とは、物事の依存関係を確認し、全体の構造を見いだすことです。センゲは「木を見て森も見る」ことが必要だと主張し、ある個別の事象の原因を特定するだけでは済まないと指摘します。様々な事象の相互の関連性と全体の中での重要性を理解し、どの部分に働きかければ最も効果的に問題を解決できるのかを見い出すことが重要とみるのです。これを「レバレッジの原則」と定義します。

 ただ、効果的な作用点は通常見えづらいものです。また、経営管理における多くの施策は、それを実施すれば一度は業績が好転しますが、後に悪化しがちです。短期的に状況を好転させる方法はたくさんありますが、それだけで問題自体が消えたと錯覚してはならないのです。

 例えば、需要があるからと増産すれば、いずれ在庫や設備などの余剰に悩む可能性もあります。低価格で良いサービスを提供しているつもりでも、人材確保や教育を怠れば、価格も質も維持できなくなります。こうした点について、センゲは「スナツプショットとしての出来事よりも、プロセスや構造を見ることが必要」と指摘します。

 このようにヽシステム思考は全体を見るための考え方ですが、事象を正しく捉えるためには、戦略の結果をフィードバックする仕組みが重要となります。フィードバックを通じて、現場の最前線で発生する「遅れ」を適切に把握します。戦略を実行する場合、的確なフィードバックがタイムリーでなければ、致命傷になりかねないのです。 
森下 幸典著述より

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2013/4/18  センゲ著「最強組織の法則」

 日本企業の組織力とチ一トムワークは、かつて世一界で高く評価されてきました。しかし、現在の複雑で変化の激しい環境下において、各企業はその問い直しに追られています。米経営学者のピーター・セングが1990年に発表した「最強組織の法則」は、新たなチームワークのあり方への指針を与えてくれます。

 センゲは「これからの組織は、一人の大戦略家の指示に従うのではなく、あらゆるレベルのスタッフの意欲と学習能力を生かすすべを見いだす組織、すなわち、学習する組織(ラーニングオーガニゼーション)であるべきだ」と主張します。そのために必要な5つのポイントを掲げています。

 1つ目は「システム思考」です。それは、自分が直接関わる個別の事象だけでなく、全体の相互作用を理解し、それを有に変えていくすべを把握させるための知識とツールの総体です。

 2つ目は「自己マスタリー」です。マスタリーとは習熟度を指し、個々人が習熟度を上げるための努力が組織の活力を生み、ラーニングオーガニゼーションの土台となるという考え方です。

 3つ目は「メンタルモデルの克服」です。我々の心の中に固定化されたイメージや概念を客観的に見直し、その時に良いと判断した内容でも時代や環境の変化に応じて考え方を変えなければならないという意味です。

 4つ目は「共有ビジヨンの構築」です。センゲは「本物のビジョンがあれば、人々は学び、力を発揮する」と言います。そうせよと言われるからではなく、そうしたいと思うから人は行動するとみるのです。

 最後の5つ目は「チーム学習」です。一人一人は優秀でも、組織として優秀かどうかは別の話です。セングは「すばらしいチームははじめからすばらしかったわけではなく、すばらしい成果を生むすべを、チームが学習したのだ」と強調しています。
 森下 幸典著述より

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2013/4/9 ルイス著 「マネーボール」〜変革への長い道のり 優れたアイデア、外から〜

 米大リーグ球団アスレチックスの新たな野球理論の源流は、食品工場の夜間警備員だったビル・ジェイムズが1977年に野球データを分析していた結果をまとめて自費出版した「野球抄1977」に遡ります。しかし、旧態依然とした球界は、見向きもしませんでした。「革新的なアイデア」は球界の外で生まれ、球界の外で長らく進化を続けることになります。

 転機が訪れたのは95年。当時のアスレチックスのゼネラルマネジャー(GM)は弁護士出身のアンダーソンです。ジェイムズの著作に親しみ、球界に新風を吹き込みたいと思っていましたが、名監督ラルーサが壁となっていました。しかし、同年にオーナーの死去と球団売却に伴う運営費削減などでラルーサが辞任し、アンダーソンは自らの意をくんだハウ監督を招へいするのです。

 97年にアンダーソンの継承者としてビーンがGM に就任し、98年のオフにハーバード大学出身のデポデスタを採用。異才が融合します。デポデスタは当時最先端のAVM社のシステムを導入し、独自の選手評価を進めます。球団売却を機に変革に弾みがつき、人心の一新と異質の人材の融合を通して、新しいアイデアの実現を見るのです。

 ビリーは組織の勝利を最優先し、私情を一切挟みません。埋もれたオ能を再発見する一方で、あと4日でメジャー10年に達し、年金の資格を得られる選手を解雇することも厭いませんでした。

 2002年9月4日、ア・リーグ記録の20連勝がかかった試合で11対0のリードを追い付かれ浮足立つアスレチックス。九回裏1死で引退の危機からビリーに救われたハッテバーグ選手は得意の選球眼で初球を見送った後の2球目をライトスタンドにたたき込みます。外部の優れたアイデアを巧みに取り入れた改革が新たなヒーローを生む。企業経営を再生するヒントがこの一冊には様々な形で詰まっています。
 森 健太郎著述より

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2013/4/3 ルイス著 「マネーボール」〜人材の強みと弱み、客観的に把握〜

 2001年の米大リーグのオフにフリーエージェント(FA)移籍した主力3選手の穴をどう埋めるか。本書によると、アスレチックスのビーン・ゼネラルマネジャー(GM)の方針は明確でした。スーパースターが抜けた穴をスーパースターで埋めるのでは年俸が高すぎる。ならば、その能力を細かく分解して、 一つ一つの代替を見つけようという作戦です。

 堅守の1番打者、デイモンを例にとると、四球が少なく、打率の割に出塁率は高くない。そのため、攻撃面での影響は周囲が心配するほどではないと考えます。問題は卓越した守備力をどう評価し、どう補うかです。ここで、斬新なデータ分析が登場します。

 守備のデータといえばエラーが一番ですが、「エラーが少ない選手ほど優秀か」というと実は疑わしい。小さな守備範囲で手堅く守っている方がエラーがつきにくかったりもします。この問題にアスレチックスは全く新しいデトタ分析システムを採用することで対応しようとします。

  新しい分析システムはグラウンドを座標化し、全打球を軌道、速度、落下地点ごとに「数値化」します。そのうえで過去10年の類似の打球と比較し、ヒットと捕球された比率を計算します。こうして客観的に分析すると、普通はヒットになる難しい打球をデイモンは数多く捕球し、平均的中堅手より1シーズンに15点も多く失点を防いだことが分かりました。

 ここからがビーンの真骨頂です。そろばんをはじいてみると、守備がうまい外野手は年俸が高く、15点分の守備力を補強するよりも、15点分の得点力を補強する方が安上がりと判明します。デイモンの守備力は、打撃陣の強化で埋めることにしました。最終的には見事、02年にもプレーオフ進出を果たしました。人材の強みと弱みを客観的に把握することが競争に勝つために求められているのは、まさに現在の経営にも通じることです。
森 健太郎著述より

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2013/3/29ルイス著 「マネーボール」 〜新たな評価軸で選手を発掘〜

「マネー・ボール」を読むとい2002年の米大リーグのドラフト会議ほど、アスレチックスの″人材戦略″の独自性を物語るものはないことが分かります¨

大りーグのドラフト会議では30球団が希望の選手を順々に指名していくため、とりたい選手が20人いたとしても、そのうち3人を獲得できれば大成功といわれます。ところが、アスレチックスは事前にリストアップした上位20人のうち、13人の獲得に成功したのです。なぜなら、他球団と「選手の評価軸」が全く異なり、指名がほとんど重ならないからです。

その象徴がブラウン選手です。スカウトの言葉を借りると「ただの太ったキャッチャー」で評価は「下の下」。ところが、ビーン・ゼネラルマネージャー(GM)は「四球が多いから」を理由に動きます。大学での成績は、300安打200四球。 四球の数では全米トツプでした。   ・

ビーンG Mは得点を奪うために、まず重要なのは「出塁すること」と考えます。安打でも四球でも、出塁するという「結果」と得点への貢献度は同じです。それに四球の多い選手は高打率の選手より年俸が安く、「費用対効果が高い」のです。

オフに獲得したハッテバーグ選手も同様です。それまでのレッドソックスで捕手で肩を壊し、アスレチックスが一塁手への転身を条件に手を差し伸べます。02年の打率は2割8分と3割を超えるイチロー選手に見劣りしますが、四球を選ぶのがうまく、出塁率は遜色ありません。

打点も選手の評価に重視されてきた指標ですが、満塁ホームランの4打点はチームメートの出塁があってこそ。どこまでが「個人の能力」かは難しいところです。こうした着想を経て、出塁率に長打率を加味した新たな指標で選手を評価し直します。よりよい人材評価の指標が組織強化の礎になることを示した点が経営書としても本書が読まれる理由の一つです。 
森 健太郎著述より

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2013/3/20 ルイス著 「マネーボール」  異質な例外の謎を解き明かす

 大リーグの球団の中で極めて資金力に乏しいオークランド・アスレチックスが、なぜこんなに強いのか。ウォールストリート出身の作家、マイケル・ルイスがその謎を解き明かそうとしたのが2003年に著した「マネー・ボール」です。11年公開のブラッド・ピット主演の映画を見た人もいるでしょう。 

 金持ち球団が大物選手を買い漁り、「野球はマネーゲームになった」と嘆かれる中、当時のアスレチックスの年俸総額はニューヨーク・ヤンキースの3分の1。にもかかわらず、2000年からプレーオフの常連になり、01年には102勝を挙げました。何とも不可解な存在で、大リーグ機構のセリグ・コミッショナーをして「異質な例外」と言わしめます。

 ルイスが初めてアスレチックス本社を訪れたのは01年のシーズン終了後。折しもこのオフに、アスレチックスは3人の主力選手をフリーエージェント(FA)で失います。ヤンキースなど金持ち球団からの提示額は3人合計で1年当たり3200万ドル。アスレチックスにはチームの総年俸に匹敵し、とても引き留められる金額ではありません。快進撃もここまでかと思われました。

 ところが02年、アスレチックスは前半戦こそ苦戦するものの、01年を上回る103勝を挙げます。また、9月には20連勝という金字塔を打ち立てます。もはや、「運が良いだけ」では片付けられません。

 ルイスがアスレチックスに見たのは、捨て身の戦略や、理屈では説明がつかない「奇跡の物語」ではありませんでした。

 アスレチックスのゼネラルマネジャー(GM)、ビリー・ビーンのもとで進行していたのは、戦法とチーム編成の「イノベーション」と「球団組織の変革の物語」だったのです。まさに今、多くの企業に求められるイノベーションと組織変革そのものであり、経営書としても高い評価を得ているゆえんです。
森 健太郎著述より

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2013/3/15 アービンジャー・インスティチュート著 「自分の小さな『箱』から脱出する方法」

 自分だけの考え方にとらわれて、それ以外の多様な人間に見向きもしない「自分の小さな『箱』の外に出るにはどうしたらよいか。本書は自分が自己欺瞞(ぎまん)に陥り、箱の外の見晴らしの良いところから状況を眺めることができないでいる問題を心底自覚することだと指摘します。

 箱の中にいるリーダーは自分では頑張っているつもりでも、ストレス、チームワーク不足、信頼の欠如といった問題に苦しみます。その原因が箱の中にいることにあると真に理解したときに、周囲の人を人として尊重することの重要性に気づくのです。周囲の人を自分と同じように切実な欲求や希望、不安を抱えている人間として捉えた瞬間に、箱から脱出することができます。自分の頑迷さに気付いて意識を改めれば、結果も変化します。様々な状況に対して、新しいアイデアや解決策を生み出せるようになります。チェス盤全体を見渡すことができて初めて、よい一手が打てるのと同じです。

 より具体的には、優れたリーダーには少なくとも2つの要素が求められます。1つ目は「役割ではなく、人に共感を持つ」ことです。幸福を求めて苦しみを避けようとしながら、自身の状況に基づいて最善を尽くしているという点では、組織の中の誰もが同じ人間です。このことを念頭に置いて接すれば、誰もがやる気を出すでしょう。

 2つ目は「ありのままを出す」ことです。完璧な人間など存在しません。完璧を装うことは人間らしくない振る舞いです。他者との関係は過ちを認めたときに深まります。何でも知っているふりをせず、相手が「内に秘めた感情」に日配りしましょう。

 これらのアプローチを心から取り入れることができれば、他人の視点や感情を予期して感じ取り、考慮に入れやすくなります。そうすれば、相手も同じよぅな配慮をもって接してくるはずです。 
ブライアン・ソーズバーグ著述より


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2013/3/7 アービンジャー・インスティチュート著 「自分の小さな『箱』から脱出する方法」

  自己欺職(ぎまん)に陥ると、私たちは他人を自らの目標を達成するための駒とみなしたり扱ったりしてしまう「箱」の中に入ります。自分に盾突く相手が脅威となる一方で、すぐに役に立つ人だけを味方と考えるようになります。健全な組織環境と全体のパフォーマンスの強化に努める代わりに、自分の目標達成だけに忙殺されます。

  皮肉なことに身勝手な「箱」から世界を眺めている間は、決して望むような結果を出すことはできません。ストレス、チームワーク不足、信頼の欠如、コミュニケーションの問題などが生じます。しかし、「箱」の中にいるために自分を客観的に観察できず、そうした問題点にはほとんど気づきません。

  自分が目標に向けて頑張っているという自負があるときほど、リスクは高まります。例えばAさんは長時間の残業が続いて1週間、家族どほとんど顔を合わせることがなかったとします。やっと週末に時間ができて家族でお気に入りのレストランへ夕食に出かけることにしました。ところが子供が熱を出し、予約をキャンセルしなければならなくなりまし  た。

  Aさんは、前日に夫人が「昨夜、隣の家に風邪気味の子供がいたのに、息子を遊びに行かせてしまった」と話していたことを思い出します。そこで「なぜ子供が病気の家に息子を遊びに出したんだ」と夫人をなじってしまいます。さらに「自分は毎日、友達とランチやお茶に出かけているくせに」と畳みかけます。

  夫人にも多少は思慮を欠いた点はあったにせよ、普段は育児などでAさんと同じように頑張っています。友人とのランチやお茶もそのストレスを解消するためのささやかな息抜きです。しかし、Aさんは自分の仕事の成果だけを考える「箱」の中に入っているために、夫人の日ごろの苦労に思いを巡らせることができません。家庭内だけでなくい職場でも同じようなことが起こりえます。
ブライアン・ソーズバーグ著述より

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2013/3/3 アービンジャー・インスティチュート著 「自分の小さな『箱』から脱出する方法」
 真のりーダーシップを発揮するためには「自己欺瞞(ぎまん)」の概念を理解し、それを克服することが必要です。自己欺瞞とは突き詰めていえば、自分の考え方にとらわれて、多様な人間の価値観に見向きもしないことです。それが本書のいう「自分の小さな『箱』」にとどまる状態を招きます。

 本書は物語形式をとりながら、仕事でも家庭でも他者との対立の根本原因は欺瞞にあると主張します。自己欺瞞に陥ると@他人の短所を誇張するA自分を過大評価するB自己を正当化するC他人を批判する――という傾向が強まります。良好な人間関係を得られないのは当然です。

 自己欺瞞を避けるには、自分をよく知ることが重要です。自分の行動の原因はどのような考え方や感情に基づくのかを考えてみるのです。次に否定的な感情を抑制することも欠かせません。優れたリーダーが困難な状況でも平静さと集中力を維持できるのは、怒りや他者を無視する感情を抑えられるからです。

 優れたリーダーは信頼とチームワークに満ちた環境をつくりヽそれと引き換えに周囲の人々から忠誠心や尊敬、成果を引き出します。そのためには、周囲のメンバーが人間的にも仕事の上でも成功し、成果を上げる手助けをしたいと心から願うことが求められます。

 管理職には、能力が劣ると思える部下を持った人もいるでしょう。しかし、米国の実業家で「石油王」と呼ばれたジョン・ロックフェラーは「優れたリーダーシップとは(平均的な人たちに優秀な人の仕事ぶりを教えること」と語りました。ただ、実際には平均的な人など存在しません。

 大切なのは、他者との対立を巧みに解消し、自分自身を啓発しながら個々のメンバーに合った成長を促すことです。自己欺嚇を克服して「自分の小さな『箱』から脱する」ことは、そのために欠かせないステップであるといえます。
ブライアン・ソーズバーグ著述より

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2013/2/24 アービンジャー・インスティチュート著 「自分の小さな『箱』から脱出する方法
「自分の小さな『箱』から脱出する方法」は米国で2000年に出版され、ベストセラーになりました。日本でも邦訳が出ています。ビジネスや法律、哲学などの専門家が集まるアービンジャー・インスティチュートの研究者が執筆を担当しています。仕事上でも家庭でも問題を抱えているビジネスマンを題材とした物語形式を取り入れています。

本書がいう「自分の小さな『箱』」とは、他人を自らの目標を達成する駒とみなしたり扱ったりしている状態のことです。身の回りの人間関係の問題は、自分の態度や姿勢が原因であることが少なくありません。他人を同じ人間として扱う基本的な義務を怠れば、人間関係に問題が生まれるのは当然のこと。自らの力も発揮できなくなります。

こうしたことを妻や飛行機の期中での他人とのやり取りのような日常的な物語を通じて分かりやすく伝えていくのが、本書の特徴です。しかし、本書がベストセラーになったのは、それだけではなく、多くのビジネスマンに「箱」の中にとどまっていることの問題点を気づかせたからだと思います。

「『箱』から脱出するということは、他人を自分と同じように、まっとうなニーズや望みを持った人間としてとらえることです。それができれば、夢を共有することを通じて相手からアイデアを引き出したり協力を得たりすることが可能になります。こうした状況は、ビジネスでは管理者よりもリーダーにとって欠かせないものです。

本書は経営トップに近い立場の人ほど何らかの「自己欺購(ぎまん)」に陥りやすいということを前提に執筆されています。仕事ができ、強い力も持つようになったときに、自分の欠点を棚にあげたままで相手を非難するばかりになっていないかどうか¨どの時代のリーダーも顧みなければならないテーマといえると思います。
ブライアン・ソーズバーグ著述より


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2013/2/ 8ムーア 「キャズム」〜エコシステムしての製品価値〜

 ムーアは、ハイテク製品の発売初期から大衆化するまでの市場のギャップであるキャズム(溝)の原因を「顧客特性の違い」と考えました。前者の顧客は製品のイノベーションの可能性を評価するのに対して、後者は実利主義・保守主義が強いとみたのです。

 そこで、ムーアはキャズム越えの方法としてデマンド側、すなわち消費者の特性に対応することを提案しました。まず顧客層を絞り込み、そこに実利性が高い製品を提供して「実利の証明」をめざします。ニッチ市場で評価を高めてから市場全体に展開することを狙います。このように、ムーア理論の特徴はキャズムの原因も対応策もデマンド視点にあることです。

 しかし、キャズムの原因と対応策がサプライ側、つまり供給サイドにあることも多いのではないでしょうか?例えば製品の性能不足や価格の高さです。米マイクロソフトが2002年に発表した基本ソフト(OS)を基にした「タブレットPC」は重くて高いものでした。米ヒューレット・パツカードの「TCll00」は重さ約1.4キログラムで20万円以上しましたが、10年に発売された米アップルの「iPad」は約0.7キログラムで5万円程度でした。

 もう一つのサプライ側の原因として、補完製品やインフラを含めたエコシステム(生態系)として価値を実現できていない可能性があります。モバイル端末向けの衛星放送「モバHO!」は、魅力ある有料放送を提供できなかったし、固定電話に簡易インターネットサービスを提供する「Lモード」は家庭のアナログ回線ではレスポンススピトドが遅すぎました。

 エコシステムとは、本体、コンテンツや追加ソフトなど補完製品、インフラを含めて製品を捉える概念です。生物が一種類だけでは生存できないように、製品も関係製品を含めて価値あるシステムになっていないと存在し続けられないのです。 
(根来 龍之氏著述)

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2013/1/ 31ムーア 「キャズム」〜キャズムを超える方法 ニッチな実利市場を攻める

 「キャズム」とは、ハイテク製品がメーンストリーム(主流)市場に普及する前に存在する大きな溝のことでした。このキャズムを越えるために、ムーアが主張する基本戦略は、メトンストリーム市場の最初の顧客層であるアーリーマジョリティ(初期多数派)の実利主義に応えることです。ただし、アーリーマジョリティ全員に製品を提供しようとしてはいけないと主張します。

 キャズムを越える最も安全な方法は、全力を1カ所に集中することだとされます。ある特定の顧客層に向けてホールプロダクト(完全な製品)を素早く作り上げることが重要だといいます。

 市場全体を相手にしてはいけない最大の理由は、実利主義者であるアーリーマジョリティが欲しがるのは百パーセントの解決策だからです。その前の構成するアーリーアダプター(初期採用者)が「将来的に有用になる」ことを予想して製品に夢を抱いてくれるのとは違いがあることを認識すべきです。

 このアプローチは、ボウリング場のレーンになぞらえて説明されます。各顧客層は、ボウリングのピンに相当すると考えられます。1つのピンを倒すことで、他のピンも倒していきます。つまり、1つの顧客層での成功をバネにして、新たな顧客層、つまり次のボウリングピンを倒します。最終的には「ストライク」を出し、急速な成長を巻き起こすことができるとされます。

 推奨されるアプローチは、以下の3つのステップを踏むことになります。@小さいながらも確実な足がかりを、メーンストリーム市場のどこか1カ所にできるだけ早く築くA メーンストリーム市場が開花したら、市場全体を意識した戦略を推し進めて、標準品として広く普及させるB再び顧客中心のアプローチに戻り、マスカスタマイゼーション(個別仕様の製品を大量につくる)を通じて、製品に付加価値を加えるの3つです。 
(根来 龍之氏著述)

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2013/1/ 26 ムーア 「キャズム」ハイテク商品野挫折〜多数派の購買心理に要因〜

 ハイテク製品は提供企業の側では、画期的な製品と考えて市場に導入します。しかし、多くの製品が多数派の大衆層には浸透できずに市場から撤退を余儀なくされます。

 例えば、固定電話に簡易インターネットサービスを提供する「Lモード」は2001年にスタートしましたが、10年にサービスを終了しました。専用のモバイル端末向けの衛星放送「モバH01」は04年にサービスを開始し、09年にサービスを終えました。

 多くのハイテク製品は一部の消費者には常に歓迎されます。好奇心が強く新しいものが好きなイノベーター(革新的採用者)は価格が高くても購入をいとわないところがあります。次のアーリーアダプター(初期採用者)もイノベーションの可能性に敏感です。しかし、イノベーターのように単に新しいから購入するのではなく、製品の良さとコストを冷静に「自分で評価」します。

 多くの消費者は、他の人の意見や他の人が使っているかどうかを判断基準にする傾向があります。普及理論では、アーリーマジョリティ(初期多数派)以後の消費者にそういう傾向があるとされます。

 ムーアは、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には大きな溝(キャズム)があると主張します。多くのハイテク製品がアーリーマジョリティ以後になかなか浸透しないで撤退せざるをえなくなるのは、購買心理が異なるからだと考えました。

 イノベーターとアーリーアダプターは、イノベーションの可能性に反応し、製品に不便な点があっても自分で工夫して使おうとします。しかし、アーリーマジョリティは、使い勝手がいいかどうかにこだわる慎重な実利主義者であり、自分で工夫して製品を使うことはありません。この消費者心理の違いを考慮したマーケティング戦略をとれずに、多くのハイテク製品は挫折するとムーアは考えたのです。
(根来 龍之氏著述)

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2013/1/ 17 ムーア 「キャズム」ハイテク商品の採用者 時期に応じ5分類可能

  「キャズム」は米国のコンサルタント、ジェフリームーアが1991年に著しました。多くのハイテク製品が一部のユ一ザー」に受け入れられながらも、一般的な消費者までには浸透しないで挫折する原因とその克服策を論じています。

 本書の理論は米国の社会学者、エベレット・ロジヤーズの普及理論がベースです。ロジヤーズの理論はハイテク商品」に限らず、新しい製品やサービスなどが登場して普及していくプロセスを論じたものです。

 ロジャーズは「イノベーションの普及」の中で、採用時期によって消費者を@イノベトダー(革新的採用者)Aアーリーアダプター初期採用者)Bアーリーマジョリティ(初期多数派〉Cレイトイマジュリティー〈後期多数派〉Dラガード(採用遅滞者)の5つに分類しました。

 イノベーターは好奇心が強く、新しいものに抵抗を持たずにイノベーシ一ンを導入します。アーリーアダプターは上手に思慮深く利用するのが特徴。アーリーマジョリティは比較的慎重で、初期採用者に相談するなどして採用します。レイトマジョリティはうたぐり深く、世の中の普及状況をみて導入します。ラガードは流行や世の中の動きに関心が薄く、最後の採用者になります。

 ロジャーズのモデルで、最も重要とされるのはアーリーアダプターです。イノベーターに比べて、アーリーアダプターは社会全体の価値観や感性からの乖離(かいり)が小さく、普及の先導役になるからです。

 ハイテク製品について、ムーアが問題にするのはアーリーアダプターからアーリーマジョリティヘの移行です。この間に大きな溝(キャズム)があると主張します。多くのハイテク製品はアーリーマジョリティに受け入れられずに挫折すると考えました。その原因は、普及過程ごとの消費者特性の違いを理解しない製品市場戦略をとるからだと指摘します。
(根来 龍之氏著述)


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2012/12/ 27三品和広「戦略不全の論理」〜経営戦略の3要件 非合理性・非可分性・非可逆性

 著者は第7章「経営戦略の3要件」で、「戦略不全」を回避する要件、すなわち戦略を戦略として機能たらしめる要件として「非合理性」「非可分性」「非可逆性」の3つを挙げて論じます。

 
第1 の要件「非合理性」とは、業界の常識を破りながら、新たな経営の合理性を打ち立てることです。その一例が、米ウオルマート・ストアーズです。同社は「ディスカウントスア(DS)は人ロ10万人以上の都市でしか成立しない」という業界の常識をくつがえし大成功を収めました。

 
 従来のDSは、大都市の大型店舗が店単位で商品を調達してきました。しかし、ウォルマートは大型物流拠点で一括調達した商品を、周辺の多数の店舗網に供給することで人口の少ない地域でもDSを成立させました。

 
 第2の要件が「非加分性」です。組織内の分業化は、個々の工程の生産性を高める一方、下手をすると「部分最適化」をもたらします。「戦略はオペレーションのパッケージ」であり「分業に付された部分のコーデイネーシヨンをつかさどるためにこそ、戦略は存在する」と著者は述べます。


 本書は事例としてヽトヨタ生産方式を挙げます。個々の工程だけの稼働率向上に終わる「効率の罠(わな)」を避け、ジャストインタイムの生産方式により調達・生産・販売の全体最適を実現、利益を最大化する仕組みといえます。


 第3の要件は「非可逆性」です。戦略に対する10年レンジの「超長期のコミットメントこそが、競合他社との間で決定的な収益力の差をもたらす」との考え方です。


 例えば、キヤノンは「右手にカメラ、左手に事務機」と後に表現される多角化方針を1962年に打ち出します。しかし、国産初の普通紙複写機の発売は8年後、レーザービームプリンターの開発は3年後です。事務機市場への進出に対する経営トップの揺るぎないコミットメントがあったからこその成功でした。
(梅沢高明氏著述より)

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2012/12/ 20三品和広「戦略不全の論理」〜『構造」「構築」「構図」3分類し分析

  本書の主眼は、データ分析に基づいて日本企業が患う「慢性的な低収益の病」の本質や解決策を探ることです。同時に、経営学などの代表的な戦略論を織り込んでいるのも特徴です。

 事業戦略について、本書は「構造」「構築」「構図」の3つの戦略論に分けて分析します。「構造の戦略論」として本書があげるのは、経営学者、マイケル・ポーターの競争戦略論です。ポーターは、企業にとっての業界の魅力度は@川上業界の交渉力A川下業界の交渉力B業界内部の競争圧力C参入の圧力D代替品の圧カ--という「5つの力」、すなわち市場の「構造」で決定すると考えました。

 構造の戦略論でポーターが提示したもう1つの概念は「コストリーダー」「差別化」「集中」などの「戦略ポジション」です。同じ業界の中でも、ポジショニングによって5つの力の働き方が変わり、結果として収益性も変わるという重要な理論でした。

 「構築の戦略論」は、固有の組織能力の蓄積と、その多重利用を戦略の要諦とする考え方です。日本車メーカーがトレードオフ(二律背反)の関係にあると思われた高品質と低コストを製造技術の進化によって両立させ,、1980年代に躍進したのが代表例です。

 「時間をかけてトレードオフをシフトさせることこそが動態的競争の本質であり、そのシフトを可能にする組織能力の構築こそが戦略の標的」と本書では指摘します。

 「構図の戦略論」は事業の組み立てなどの革新を通じて、競争優位を築く考え方です。米デルのパソコン直販モデルが代表例です。デルは、市場構造の選択や製品・製造技術などの組織能力で優れていたわけではありません。従来の「製品開発→見込み生産→販売店ヘの卸売り」から「モジュール設計→受注(電話・ウェブ)→組み立て・直送」というシステムに転換し、成功を収めたのです。
(梅沢高明氏著述より)

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2012/12/ 11三品和広「戦略不全の論理」〜慢性的な低収益の病 合議が招く「利益なき拡大」〜

 「戦略不全の論理」は神戸大学大学院の三品和広教授が2004年に著しました。三品氏は米ハーバード大学ビジネススクール助教授などを経験し、多くの企業で経営者育成にも携わる実践的な研究者です。本書でも具体的なデータ分析に基づいて日本企業が患う「慢性的な低収益の病」の本質や解決策を示します。

 本書はまず、金融・保険を除く上場企業の売上高営業利益率の推移を分析します。製造業は利益率の長期下落傾向が顕著です。対象企業の営業利益額合計を売上高合計で割った平均利益率は1960年がH%超。その後、60年代を通して10〜8%、70年代後半から80年代に6〜4%、90年代には4%前後へと低下します。非製造業は60年代前でも5%程度で、70年代以降はほぼ3%で低位安定します。

 特に製造業の70年以降は「利益なき拡大」でした。30年間で合計売上高は1.87倍に拡大する一方、営業利益は0.98倍と横ばいだったのです。

 その背景に円高の進展があったことは確かです。しかし、著者は「経営戦略にとって為替は与件である。それを織り込んで舵(かじ)を取るのが戦略というものであろう」と述べます。環境変化に対応した戦略の軌道修正を怠り、利益を犠牲にした規模拡大を続けたことを問題視します。

 著者は多くの日本企業の問題点をボトムアップの合議による意思決定に求めます。ボトムアップ型の会社は、市場に追い風が吹く状況では、流れにのる選択をしがちです。しかし、この選択肢は競合他社でも合意しやすいものです。その結果、競合と市場で正面衝突を繰り返し、低収益に陥ると指摘します。

 逆に、市場に逆風が吹く状態においてはい事業の再構築や撤退を含め、大きな決断を要する意思決定が多くヽボトムアップでは合意に至ることが困難です。結果として「様子見」や小手先の対策を繰り返し、消耗していくと結論づけるのです。
 (梅沢高明氏著述より)

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2012/12/ 4 ピーターズ他著「エクセレント・カンパニー」組織のスリム化 現場に権限「オープン」

 「エクセレント・カンパニー」が書かれた1980年代初頭は、大量生産・大量消費型経済が終焉(しゅうえん)を迎えつつあった時代です。その代わりに企業は顧客ニーズの多様化、多品種少量生産への対応を追られるようになります。この流れに呼応するように、本書は超優良企業が満たすべき8つの基準の1つとして「単純な組織、小さな本社」を挙げます。

 なぜ、顧客ニーズの多様化などに対応するために「単純な組織、小さな本社」が必要なのか。その答えは明自です。本書は企業は大きくなるとともにシステムも組織も「複雑さを増す」と指摘します。しかし、現場で働く多数の従業員にとってシステムや組織が複雑になるほど、混乱を生みやすくなり、顧客ニーズの多様化に対応することが難しくなります。

 本書のいう小さな本社は、裏返せば「権限を委譲する」ことを重視している証しでもあります。事務部門がいちいち管理しなくても「現場における自主性をなるべく多く与える」からこそ、本社が小さくて済むわけです。ほとんどの超優良企業にこのことがあてはまると著者は説明します。

 ただ、当時まだ十分に顕在化していなかった構造的な変化として、現在ではIT(情報技術)革命、グローバル化の2つを挙げないわけにはいきません。IT革命により、調達、研究開発想ど、企業活動の様々な面で「時間と場所の制約」がなくなり、基本的に世界中のあらゆる場所からよいモノを手にすることが可能になりました。

 現在の超優良企業といえる米アップルや韓国サムスン電子もグローバルに事業を展開していますがヽハードやソフトの自前主義にこだわらず、社外からオープンに導入していることも見逃せません。これは日本企業が弱い点です。いま、エクセレント・カンパニーの続編を書くなら「オープン」という基準は不可欠になるだろうと思います。(高野健一氏著述より)

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2012/11/27 ピーターズ他著「エクセレント・カンパニー」顧客に密着 従業員も同じ視点で

  「エクセレント・カンパニー}で著者は、超優良企業になるには8つの基準を満たすことが必要だと指摘しています。そのうちの一つである「顧客に密着する」について、今回は詳しく論じたいと思います。この基準を取り上げるのは、著者の指摘するように「当然きわまりない考え方」にもかかわらずヽいまも「口で言うだけ」の企業も多いと思えるからです。

 本書では「顧客に密着する」ことを重視する企業の事例として、米IBMやウオルト・ディズニーなどを紹介します。どちらにも共通するのは、徹底した顧客サービスです。客にモノや入場券を売ることだけでなく、アフターサービスや施設に迎え入れてからのもてなしを重視していることを強調しています。

 この両社の「顧客に密着する」サービスを言い換えれば「顧客の経験を重視する」ともいえます。そのために必要なのは「人」の力です。従業員が顧客と同じ視点でモノを見て、顧客が何に心を躍らせられるのかを理解しなければ、ディズニーランドは入場者をわくわくさせることはできないでしょう。従業員のモノの見方に影響を及ぼし、優れた価値観を定着させるのが超優良企業であるというわけです。

 しかし、価値観は世の中の変化とともに変わっていくものでもあります“新しい価値観を獲得できた企業が生き残り、それができない企業は淘汰されてしまいます。超優良企業として生き抜くためには、環境の変化とともに価値観を変えていく力が不可欠です。

 こうした価値観の転換は大企業になればなるほど、容易ではありません。絶対的な解ではないかもしれませんが、本書はこの価値観の転換に成功した企業として米スリーエム(3M)を挙げます。市場を細分化する「ニッチ主義」で顧客のニーズに対応するとしています。きめ細かい市場への対応は、いまの日本企業にも参考になるのではないでしょか。
(高野健一氏著述より)

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2012/11/20 ピーターズ他著「エクセレント・カンパニー」 企業文化の重要性 社員の自主性育む

 本書は超優良企業になるためには「顧客に密着する」「単純な組織・小さな本社」など8つの基準を満たすことが必要だと指摘します。見逃せないのは、その指摘の前に企業文化の重要性について論じていることです。

 いまでは、欧米企業でも企業文化の大切さは認識されていますが、本書が出版された180年代初めは必ずしもそうではありませんでした。

 実際に筆者は企業文化の重要性を示したときに、同僚のコンサルタントから次のように言われたと書いています。「それは結構だけれど、ちょっとぜいたくというものではないだろうか?企業というのは、まず金もうけをしなければ、なにもできないよ」。そのエピソードの後で、筆者は優れた企課文化が収益を生むうえでも欠かせないものであることを次々に例示していくのです。

 企業文化というと、人によっては、社員に同じ価値観を無理やりに強いるようなマイナスのものとして受け取る場合があるかもしれません。実際、筆者は経営学者のヘンリー・ミンツバーグが企業文化について「教化」を通じた「社会的同質化」や「規範の社会化」として論じていることに対して、「期待はずれの記述」と指摘しています。

 そのうえで、筆者は企業文化が「きわめて強い拘束力を持っている企業の中で、もっとも高いレベルの自主性が生まれている」と評価します。企業文化はその会社で働く社員にとっては、全員が暗黙のうちに共有する「規範」です。いちいち就業規則などで定めるものではないことに注目すべきです。

 つまり、企業文化がしっかりしている会社ほど、ああしろこうしろと社員の行動を規定する必要が少なくなります。その結果、社員は「自主性」を持って創意工夫できる幅が広がります。それこそが企業文化が強みを生む理由であると本書は指摘します。企業文化の重要性を指摘する先駆けでもあったのです。(高野健一氏著述より)

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2012/11/13 ピーターズ他著「エクセレント・カンパニー」 超優良企業の条件 

  「エクセレント・カンパニー」は経営コンサルタントのトム・ピーターズとロバート・ウォーターマンが1982年に著しました。膨大な調査や経営者へのインタビューなどを踏まえて、「超優良企業ではやっていると思われることがなんなのか」を一般化することをめざした1冊です。世界中で大ベストセラーとなりました。

  ピーターズらは、当時の米国企業を中心に観察することを通じて、超優良企業になるに8つの基準を満たすことが必要だと指摘します。その基準は@行動の重視A顧客に密着するB自主性と企業家精神Cひとを通じての生産性向上D価値観に基づく実践E基軸から離れないF単純な組織・小さな本社B厳しさと緩やかさの両面を同時に持つ――です。

 これらの基準を見いだす際に、筆者は米国には「きわめて立派にやっている大企業はいくらでもある」と宣言します。そのうえで、IBM、スリーエム(3M)、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などを超優良企業として例示。それぞれの成功要因として組織のあり方などの具体例をあげていきます。

 なぜ本書がベストセラーになったのかについては、当時の経済情勢を振り返ってみる必要があります。80年代は日本企業が欧米市場で大きく躍進した時代です。日本的な経営を高く評価するビジネス書も多数出版されていました。一方で欧米企業の多くは日本企業への有効な対抗策を打ち出せないままでした。

 そんななか、本書は「今日、上手な経営手法が見られるのは、なにも日本に限ったことではない」と、自信を失いかけていた欧米の経営層を鼓舞したのです。本書には、紹介した超優良企業がその後、業績が悪化したことなどから批判もあります。しかし、膨大な数の企業を調査し、優れた経営の実例を現場から引き出した本書には、いまもヒントになる事例がたくさんあります。(高野健一氏著述より)

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2012/11/6  コヴィー 「7つの習慣」〜持続的成功の秘訣 精神・知性を新しくする〜

 人格成長を中心とする私的成功の上に、他人との相互依存関係を築く公的成功を成し遂げられるようになったとき、もう一つ必要な習慣があるとコヴィーは主張します。

 それは私的成功・公的成功を持続させるために、自らの精神や知性などを新しい状態にする「再新再生」の時間をとることです。これが第7の習慣「刃を研ぐこと」です。

 自分自身という最も大切な資源を維持するためには肉体、精神、知性、社会・情緒の各側面で、バランスよく刃を研ぐ必要があります。それにより、前回までに紹介した6つの習慣を実行する能力が高まります。  

 一方、これらは本質的には重要ですが「緊急性はない」ことの典型例ですから、着実に実行するために習慣化し、生活の一部に組み込んでおく必要があります。

  まず、肉体の再新再生により、自制と責任(第1の習慣)が強まります。持久力、柔軟性、強さの3つをバランスよく鍛えることが必要です。栄養のある食事を取り、十分な体養を心がけ、定期的に運動をしましょう。

 精神の再新再生により、自己リーダーシップ(第2の習慣)が育成されます。自分を見つめ、静かに考える時間をつくることです。

 知的再新再生により、自己マネジメント(第3の習慣)が促進されます。定期的に優れた本を読むことが最良の道です。

 毎日少しでもこれらの再新再生に時間をとることで、私的成功が得られ、社会・情緒面の再新再生に必要な内的安定が得られます。それが第4、第5、第6の習慣を実行する基礎となるのです。

 これら7つの習慣を実行することで、人格の成長や精神の安定が得られ、結果的に周囲を動かす「流れを変える人」になることができるとコヴィーは考えます。他人や環境、テクニックに頼るのではなく、自らの内面に端を発する成功こそが、本質的で持続的な成功をもたらすのです。
(奥野慎太郎氏著述より)

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2012/10/30  コヴィー 「7つの習慣」〜相互依存関係を築く 自立した個人への信頼が基盤〜

 コヴィーがまとめた7つの習慣の最初の3つは、他人への依存から脱し、私的成功を収めるためのものでした。「私的成功」で自立したら、それを土台として他人との相互依存関係を築く「公的成功」に挑めます。この相互依存関係は、 一方的な他人への依存とは根本的に異なり、真に自立した個人に対する信頼が基盤となります。

 信頼とは銀行の預金口座のようなもので、信頼のレベルは「信頼残高」とでもいえるもので測られます。この残高を増やすには@相手を理解するA小さいことを大切にするB約束を守るC期待を明確にするD誠実さを示すE信頼を損ねたら誠意をもって謝る―― という6つの方法があります。公的成功のための3つの習慣はこれらを促進させるための習慣です。

 第4の習慣として挙げられるのが「Win― Winを考えること」です。Win― Winとは、誰もが負けたり損をしたりしない、最も持続可能なパラダイムです。これは自らのWinをつかむ勇気と、相手のWinを考える思いやりのバランスから生まれます。

 第5 の習慣は「理解してから理解されること」です。人は皆、理解されることを望んでいますが、実際は独善的であったり、自分の理解を押しつけたりしがちです。相手に何かを期待したり提案したりする前に、相手を本当に理解することが必要です。そのためには感情移入して相手の話を聞く、すなわち相手が見ている世界を見ることが鍵になります。

 第6 の習慣は「相乗効果(シナジー)を期待すること」です。考え方の異なる他人との相乗効果は、人生で最も崇高な活動であり、相乗効果の本質は、相手との相違点を尊ぶことです。自らが真に自立し、相手とのWin― Winを求め、そのために相手の見ている世界を見る努力をすることで、自らの案でも相手の案でもない第三案をもとに創造することができるのです。(奥野慎太郎氏著述より)

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2012/10/23  コヴィー 「7つの習慣」 人格向上のためには 〜まず自分で責任をとる

 コヴィーは他人や環境への依存状態から脱し、自立状態に達するためには、自らの人格や生き方の向上・改善における成功、すなわち「私的成功」から始めなければならないと主張します。そのために避けて通れないのが「自己責任の原則」「自己リーダーシップの原則」「自己管理の原則」です。7つの習慣のうちの最初の3つは、これら3つの原則を踏まえたものです。


 自己責任の原則を踏まえた第1 の習慣は「主体性を発揮すること」です。私的成長のためには、他人からの評価や社会通念といったものから自立し、自らが主体性・率先力を発揮する必要があります。それは結果に対する責任を他人や環境ではなく自己に求めることにもなり、そのため自らがコントロール可能なことへの集中を促すことにもつながります。


 自己リーダーシップの原則を踏まえた第2の習慣は「目的をもって始めること」です。経営学者のピーター・ドラッカーは「マネジメントは物事を正しく行うことであり、リーダーシップは正しい事をすること」と定義しました。コヴィーのいうりーダーシップとは、この「正しい事」に主体性の概念を加え、「望む結果・目標を自ら定義する」ことを意味します。人はまず自らの人生にリーダーシップを発揮し、目的を与えなければなりません。それは自分が何を生活の中心におくかという「ミッション・ステートメント」を定めることにもなります。


 自己管理の原則を踏まえた第3の習慣は「重要事項を優先すること」です。リーダーシップを発揮し、目的とそのための「重要事項」を定めたら、次はその達成のためのマネジメント、すなわち日々の生活で実際に重要事項を優先的に実行し、自制することが必要です。この習慣さえ守っていれば、重要でないことに「ノー」と言えるようになり、逆にスケジュールを柔軟にすることもできます。
 (奥野慎太郎氏著述より)

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2012/10/ 9  コヴィー 「7つの習慣」〜真の思考とは 優れた人格を持つ

 「7つの習慣」は米国のりーダーシップの研究者であるスティーブン・R・コヴィー博士が約20年前に著し、世界で2000万部以上とされる大ベストセラーになっています。人生における真の「成功」のために、自らの内面的成長と、それを基盤とした他人との相互依存関係構築の必要性を説いたのが特徴です。


 本書は「人生にはそれを支配する原則があり、成功にも原則がある」という指摘から始まります。それらの原則を7つに分けて解説し、成功のための7つの習慣を提唱します。その底流には「真の成功とは、優れた人格をもつこと」という考え方があります。


 コヴィーによると、米国建国以来200年間に書かれた「成功」についての著作物を調べると、かっては誠意、謙虚、忍耐といった人格に関する内容が中心だったのが、最近50年は手法やテクニックに関するものが多くなったといいます。そうした手法やテクニックもある程度は必要でしょうが、より本質的な成功のために求められるのは人格の向上であると、「人格主義の回復」の必要性を説きます。


 自らの成功について、人格の向上に立ち戻らずに、周囲からの評価ばかりを問題として解決しようとするのは、他人への依存の証しといえます。それでは、自らの「真の成功」を阻害するばかりかヽ思うような結果が得られずにストレスを生むことにさえなりがちです。そこで他人からの評価や関係改善といった「公的成功」のためには、まず自らの成長と改善という「私的成功」から始めるというパラダイム転・換が必要とコヴィーは主張します。

 この自らの内面(インサイド)から始める取り組みを本書では「インサイド・アウト」と呼びます。そうした人格主義に基づくことが真の成功ヘの道であり、人間関係に悩む人や市場や顧客の変化に悩む企業に打開の道を開くきっかけを与えてくれると説明します。
(奥野慎太郎氏著述より)

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2012/10/ 2  ポーター 「競争の戦略」〜業界内部の構造分析 模倣し難い能力確立を〜

 ポーターの「競争の戦略」は、競争業者の分析や、業界内の戦略グループ分析についても多くのベージ数を使って説明しています。戦略は自社だけが立てているわけではありません。同業のライバルも戦略を立てていますし、自社の戦略に反応して他社が戦略を変えることもありえます。

 特に避けなければいけないのは、自社が価格面の優位を追求するコスト・リーダーシップ戦略に出ようとしても、他社が同様の対応をしてくることです。泥沼の価格競争への突入をどう回避できるのか検討すべきです。

 そこでポーターが紹介しているのが、業界内部の構造分析です。主要な競争業者を、戦略の特徴が類似している者同士に分類して、いわば業界内のポジショニングの違いを分析するのです。

 いつからその業界に参入しているのか、もともとどのような技術や原料に立脚していたのか、企業グループ内の他事業とどのような関係性があるのかなどを基に戦略グループを分類します。

 それら戦略グループの間には、多くの場合、移動障壁があります。その事業に参入した経緯や背景が違えば、経営資源の量や質も異なることになり、他の戦略グループに移動することが難しいためです。

 ポーターは企業の能力や資源の要素についても、移動障壁という表現を用いて言及しています。業界内で特定の企業群が他に比べて高い収益性を持続させている場合、その戦略グループの企業群は非常に強力な移動障壁を持っているとポーターは表現します。

 強力な移動障壁とは何かというと、模倣の難しい能力を確立できていれば、その戦略ポジションには他社が容易には移動してこられないということです。

 移動障壁となるような能力があれば、同質的競争に陥らずに済むのですが、なかなかそうはいかないのが、現実の競争の厳しいところです。
(岸本義之氏著述より)

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 2012/9/ 19 ポーター 「競争の戦略」〜3つの基本戦略 複数追うより、一つを貫く〜

 マイケル・ポーターの「競争の戦略」で有名になったものとして「5つの力」のほかにも、「3つの基本戦略」があります。企業戦略は自社を取り巻く競争要因に応じて異なるので、唯一の正解はありません。しかし、ポーターは競争相手に打ち勝つ方法は3 つのパターンに大別でき、おのおのに一貫した原理があると示しました。

 1つめの基本戦略はコストのりーダーシップです。コスト面で優位であれば、競争が厳しくなっても、自社の利益性は相対的に守られるのです。ただし、コスト一リーダーシップは技術変化や新規参入などの環境変化のリスクに弱いともポーターは指摘しています。

  2つめの基本戦略は差別化です。製品機能やイメージなどで特徴があれば相対的な高価格が維持でき、同質的な競争も回避できます。この戦略でも、極端な低価格攻勢や、模倣をする競合に対しては、優位を守れなくなるリスクがあります。

 3つめの基本戦略は集中です。特定の市場に経営資源を集中して優位を達成すれば、その分野への新規参入は限定され、利益性が守られます。集中戦略は市場を限定するので、全体的に大きなシェアをとれるわけではありません。また、ターゲットとする市場の特異性が薄れれば,全体の市場で優位に立つ企業との競争に巻き込まれます。

 3つの基本戦略のどれも満たしていない場合、厳しい競争に巻き込まれ、利益率を低下させます。どれかを満たしていることが、地位を守る上で必要です。

 3つの基本戦略の複数を同時に追求するのは難しいとポーターは言います。特に、市場が成熟すると、一貫性のない戦略では競争できなくなります。かつて日本企業は「いいものを安く」で海外市場を席巻しましたが、より低コストのアジア企業が台頭して苦戦を強いられています。どれか1つに基本戦略を絞らない限り、窮地からの脱出は難しくなっています。
(岸本義之氏著述より)

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2012/9/ 11  ポーター 「競争の戦略」 〜競争を左右する「5つの力」〜

 マイケル・ポーターの「競争の戦略」第1章の冒頭に登場するのが「5つの力」という枠組みです。企業の利益性は、競争環境の厳しさに影響を受けるというのが、ポーター理論の土台にある産業組織論の考え方です。その競争環境を分類したのが、「5つの力」と呼ばれる競争要因です。

 1つめの力は新規参入の脅威です。魅力的な市場でもヽ次々と参入者が現れて供給能力が増え、価格競争に陥ってしまうと、利益性は低下します。そのため、参入障壁の存在が重要となります。

 2つめの力は業界内の競争関係です。過当競争の結果、誰かが撤退すれば競争は緩やかになりますが、撤退障壁がある場合、過剰な供給能力が残り、値崩れによって利益性が低下します。

 3つめの力は代替製品からの力です。業界内の競争が緩やかでも、同じような機能の商品が台頭すると、需要を奪われるため値下げで対抗せざるを得なくなります。

 4つめの力は買い手の交渉力です。売り手が多数で、買い手が少数という場合、需給のバランスからみて、買い手の価格交渉力が高まります。

 逆の場合、売り手の価格交渉力が高まります。原材料生産者が少ない場合などがこれに当たります。これが5つめの力、売り手の交渉力です。

 こうした要因を理解して、競争環境の緩やかな場所にポジショニングすれば、資本コストを上回る利潤を上げることが可能になります。逆に、同質的な過当競争に巻き込まれやすい場所に陣取ると、もうかりにくくなってしまいます。

 ポーターはポジショニングこそが戦略と主張しました。しかし、現代の経営環境では安泰なポジションを長期的に守ることは困難です。ポジショニングは必要条件として大前提にあるものの、それを守る上で必要な組織的な能力を築くことが、高い利益性を実現するための十分条件になるというのが、現代の戦略論の要諦です。
(岸本義之氏著述より)

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2012/9/ 4  ポーター 「競争の戦略」

 1980年に出版されたマイケル・ポーターの著作「競争の戦略」は、経営戦略論を代表する1冊です。企業の経営環境は目まぐるしく変化しており(多くの経営書は数年もしないうちに賞味期限が切れます。なのに、なぜ「競争の戦略」は出版から30年以上たった今でも経営戦略論の中心にいられるのでしょうか。

 その理由は「競争の戦略」が経済学に根差している点にあります。ミクロ経済学に「産業組織論」という領域があり、独占禁止政策の理論的根拠となっています。平たく言うと、独占やカルテルによってどのように超過利潤が発生するかを特定するための理論です。

 この理論を逆手に取れば、独禁法に抵触しない方法で疑似的に独占的な状況を作り出し、利潤を上げられる可能性があります。経営学でいう「競争優位」とは、まさに独占に近い地位を特定領域で築くことです。

 ポーターはまず、「5つの力」という概念をもとにした業界構造分析を通じて、競争優位をつくれる状況にあるかどうかを判断します。そのうえで、どのような基本戦略を選ぶべきかを定めるというアプローチをとります。「5つの力」などの枠組みはすぐには陳腐化しにくい経済学の理論を支えにしているため、彼の「競争の戦略」は今でも影響力があるのです。

 ポーターは、96年の論文で「日本企業には戦略がない」と批判しています。日本企業は、横並びで混み合った市場に参入するケースが目立ちます「そうした市場で同質的な競争を繰り広げ、結果的に利益率も低く、それでも撤退しない事例に事欠きません。

 「競争の戦略」に象徴されるポーターの理論は「ポジショニング」学派とも呼ばれます。市場で独自の位置を築いて利益率を高めるというのがポジショニングの考え方です。米アップルと韓国サムスン電子の挟み撃ちにあっている企業は今こそ、ポジショニングを再検討すべきでしょう。
(岸本義之氏著述より)

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2012/8/30 アリエリー「予想どおりに不合理」〜仮想思考のリスク自分の予測、無意識に正当化〜

 百聞は一見にしかずということわざは英語で「S eei ng is b eli evi ng」と訳されますが、アリエリーは「B eli e vi ng  iS  S eei ngg」であることの証拠を次々と示します。私たちは一度、こうだと「予測」すると、結果が客観的にはっきりしたものでない限り、自分の予測に合わせて結果を解釈しヽ納得する傾向があるというのです。

 アリエリーが本書で紹介するのは「酢を数滴たらしたビール」と「普通のビール」の双を試飲してもらうケースです。試飲の際に何も言わないと「酢入リビール」を選ぶ人が結構いるのに、教えると選ばなくなる人が増えるのです。「コーヒーを飲む雰囲気が高級だと、コーヒーの質も高級に感じる」といった例も引き合いに出しています。同じワインなのに、異なる価格を提示して試飲してもらうと、高いほうがいい味だという人が増えるという話を聞いた人も多いでしょう。

 問題解決には、まず仮説を立て、それを検証することにより真の結論を導き出す「仮説思考」が重要です。しかし、さまざまな情報の中から「仮説」あるいは「予測」を正当化する情報だけを集めてきて、「やっぱり正しい」などと考えてしまうリスクも知っておくべきです。さらに、それはしばしば「無意識」に行われているということにも注意したほうがよいでしよう。

 人間はもともと「不合理」なものです。しかし、その不合理さは「予想どおり」のことであり、「不合理である」という前提でどのように対処できるのかを指摘してきたのが本書です。「不合理」であることは必ずしも悪いことではありません。「人間とはなんと素晴らしい傑作か!」というシエークスピアの言葉通り、人間の本質に基づいた意思決定や制度づくり、経営こそが人間の持つ限りない可能性を開花させうるのです。
(清水勝彦氏著述より)

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2012/8/21 アリエリー「予想どおりに不合理」〜成果主義の欠点 金銭で測れぬ働きがい

 「エコノミックアニマル」である人間は、自己の利益を最大化するために行動する。これは従来の経済学の基本的な前提であり、日本申を席巻した「成果主義」の基本ロジックでもありました。アリエリーは、この点についても異を唱えています。

 例えば、男性サラリーマンが家でとるはずだった夕食を仕事で外でとって帰宅したときのことを考えてください。奥さんが作った料理が食卓に並んでいます。「買ったら3000円はするな。はい、じやあ」といって、奥さんに3000円を渡すような家庭は、普通はないでしょう。

 もちろん、会社と家庭は違います。前者は市場規範(market norms)で、後者は社会規範(socialnorms)で動くのです。現実には家庭のように市場規範がなりたたない事は想像以上に多くあります。アリエリーが通りすがりの人にソファを動かすのを手伝ってもらう実験をしたところ、相当の報酬を出す場合だけでなく、無報酬の場合も喜んで手伝ってくれるのに、少額のお礼を出すと言うとほとんどの人が立ち去ってしまうという結果が出ています。

 多くのベンチャー企業の成功を目にして、 一獲千金を求める起業家は米国だけでなく、日本でも増えてきました。金銭による動機づけは、いい点もあるのでしょうが、深刻な副作用をもたらしているおそれもあります。アリエリーの言葉を借りれば「企業は従業員との社会的な取り決めをじわじわと切りくずしながら、市場規範に入れ替えるような行為をしている」ということです。

 金銭面の報酬は大切ですが、それは唯一のものではありません。会社で仲間と一緒に働く喜び、仕事の達成感までを「金銭化」したとき、会社は単なる金もうけの場所に成り下がってしまうのです。「成果主義」が働きがいを示せない経営者の言い訳であってはなりません。
(清水勝彦氏著述より)

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2012/8/14 アリエリー「予想どおりに不合理」 〜意思決定のわな 基準次第で異なる選択〜

 意思決定に不可欠なプラスとマイナスを評価する「基準」を、私たちが無意識のうちに設定し、しかも簡単に変えてしまうとアリエリーは指摘します。さらに、その「基準」次第でどのように異なった選択をするかをいくつもの視点から説明します。それを読むと、実際の意思決定がいかに「不合理」になされているかがよく分かります。

企業経営でも日常生活でも、私たちは意思決定せずにやりすごすことはできません。これまで意思決定を取り扱ってきた書物の多くは、いかに「合理的」にものごとを決めるべきかを説いてきました。まず、問題をはっきりさせ、その次に選択肢を洗い出し、さらにそれぞれのプラスとマイナスを定量化し、ベストを選ぶというわけです。

合理的と思われた意思決定がいかに基準次第かを最も分かりやすく説明できる事例の一つがレストランのランチです。例えば、Aランチの値段が900円、Bランチが1200円、Cランチが1500円とします。その場合、多くの客が真ん中のBランチを選びます。しかし、もしCランチがなければ、より多くの人がAランチを選ぶのです。つまり、Cランチは「そのものを売る」以上一に「比較の基準」としてBランチを魅力的に見せる役割を果たすのです。

こうした現象は、その基準に引っ張られるという意味で「アンカーリング」と呼ばれます。1992年に米国企業が経営者の報酬の詳細な開示を義務付けられたのは、そうすれば高い給料は出しづらくなると期待されたからです。実際にはより高い他社の報酬がアンカーになり、経営者の報酬は上がる一方です。

アリエリーも「私たちは、より高い給料を求めてやまない。そのほとんどはたんなる嫉妬のせいだ」と断言しています。意思決定を合理的にすることは大切です。しかし、それが「不合理的に決まった基準」に左右されやすいことも忘れてはなりません。
(清水勝彦氏著述より)

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2012/8/7 アリエリー「予想どおりに不合理」 人間は不合理 そこに成長の可能性

 本書は米デューク大学のダン・アリエリー教授が行動経済学をもとに人間の行動に潜む不合理さに分かりやすく光をあてた1冊です。

 現実には「人間は不合理だ」といっても驚く人はあまりいないでしょう。自分の会社を見れば、不合理、理不尽だと思われることはたくさんあるからです。しかし、経営や組織マネジメントを考えるということになると、急に「合理的」であることを前提に考えます。その最たるものが、従来の経済学の「人間の決断は全ての情報を勘案した上での合理的なものである」という仮定です。そもそも行動経済学が注目されるのは、いかにそうした仮定が現実と乖離(かいり)していたかの証拠かもしれません。

 なぜ、合理的なつもりで、不合理になってしまうのでしょうか。アリエリーはまず、我々の多くが「自分が下す決断も自分が進む人生の進路も、最終的に自分でコントロールしていると考える」と説明します。そう感じるのは「現実というより願望―自分をどんな人間だと思いたいか― によるところが大きい」と指摘します。つまり、目の錯覚のように「決断の錯覚」によって「自分がなんの力で動かされているかほとんどわかっていない」と結論づけるのです。

 実は「不合理」であることは必ずしも悪いことではありません。 合理的」であることは「確実なことしかやらない」につながり、効率ばかりを重視することになりがちです。合理的でないこと、例えば「リスクをかけて新しいことをやる」から楽しいのであり、「できないこと」を達成するから成長があるのです。

  その意味で、人間の不合理性をただ「悪」あるいは「未熟」として忌み嫌うのではなく、よりよく知ることが必要です。それは経営においても、マーケティングにおいても、あるいは個人の生き方においてもそうでしよう。人間は愚かである分、可能性にあふれてもいるのです。
(清水勝彦氏著述より)

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2012/7/31「カーネギー著「人を動かす」  人を変えるには やる気にさせる言葉選ぶ

 カーネギーは「人を動かす」を締めくくる第4章で、人を変えるための9原則について説明しています。そこでは、人に何か頼みごとや注意をしたい場合に、相手にそれを快く受け入れてもらい、望んだ成果を出してもらうためのポイントについて解説しています。

 相手に注意をしたい場面で、そのまま内容を伝えても、反感をかうことが多いでしょう。カーネギーは「まずほめる」ことが必要だと主張します。それから自分の言いたいことを伝えた方が、相手は受け入れやすくなります。その際、直接的な批判を避け、相手に気付かせることが大切であり、「遠まわしに注意を与える」ことや「まず自分の誤りを話したあと相手に注意する」ことの重要性を強調します。注意される側と同じ目線で話し、相手が受け入れやすい状態をつくるのです。

 また、上司が部下に何かやってもらいたい場合には「命令をせず、意見を求める」姿勢が必要だとカーネギーは言っています。命令は相手の自尊心を傷つけてしまう恐れがあります。相手の言い分を聞き、「顔をたてる」ことによって、円滑なコミュニケーションが可能になります。

 人間には、他人から評価され、認められたいという願望があります。しかし、心のこもらないうわべだけのお世辞には反発を覚えます。「わずかなことでも惜しみなく心からほめる」ことが必要だとカーネギーは教えます。まず、「期待をかける」ことによって、人はそれを裏切らないように努力します。さらに「激励して、能力に自信を持たせる」ことによって、自分の優秀さを示そうと懸命に頑張るのです。

 期待した成果を得るためには、頼んだ相手に「喜んで協力させる」状態をつくり出すことが必要です。相手が何を望んでいるかを把握して、その頼みごとによって、相手の欲しい物が手に入ることを理解してもらうように話すことが重要です。
(森下幸典著述より)

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2012/7/24「カーネギー著「人を動かす」 人を説得する12原則 〜理屈より相手の身になる〜

 カーネギーは「人を動かす」の第3章で、人を説得するための12の原則について述べています。そこでは、最初に「議論を避ける」ことが必要だと指摘します。議論で相手を徹底的にやっつけたら、自尊心を傷つけてしまい、憤慨させるだけだとみています。それでは相手の意見は変わらないという考え方です。

 同様に、相手の「誤りを指摘しない」ことが重要であるとしています。理屈どおりに動く人間はめったにいるものではなく、一人は自分の考え方をなかなか変えようとしないものだからです。

 反対に、自分の間違いに気付いたときには、すみやかに「誤りを認める」ことが必要だと言っています。相手にやっつけられる前に自己批判をしておいた方が状況は好転します。また、たとえ腹が立ったとしても「おだやかに話す」ことが重要です。やっつけられた人は、気持ちよくこちらの思い通りに動いてくれることはまず期待できないからです。

 さらに、議論の際には「″イエス〃と答えられる問題を選ぶ」ようにし、互いに同一の目的に向かって努力していることを相手に理解させる必要性を強調しています。相手を説得しようとして、自分ばかり話すのは逆効果です。「相手にしゃべらせる」こと、「相手に思いつかせる」ことが重要と説いています。

 また、「相手の考え、行動には、それぞれ相当の理由があるはずで、その理由を探し出さなければならない」と指摘します。「人の身になる」ことが必要であり、相手に対して「同情を持つ」ことも求められると言います。どんな相手でも正直で公正な人物として扱い、「人の美しい心情に呼びかける」ことの重要性も説いています¨

 人の注意を引くためには、単に事実を述べるだけではなく、「演出を考える」ことも必要です。仕事への意欲をかきたてる要件として、「対抗意識を刺激する」ことも見逃せません。
(森下幸典著述より)

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2012/7/17「カーネギー著「人を動かす」〜好かれるためには 相手に関心を寄せる〜

  カーネギーは「人を動かす」の第2章で、人に好かれるための6つの原則を紹介しています。人間は元来、自分のことに最も関心があり、他人にはあまり関心を持たないという前提に立ち、「他人に関心を持たれたいと思ったら、相手の関心を引こうとするよりも、まず自分が相手に純粋な関心を寄せることが必要である」とカーネギーは教えます。相手が何に関心を持っているかを適切に捉えていれば、忙しい人でも時間を作ってくれるし、協力もしてもらえると考えます。すなわち、人に好かれるための最初の原則は「誠実な関心を寄せる)」とです。

 さらにカーネギーは「自分とつき合って相手に楽しんでもらいたい人は、まず相手とつき合つって自分が楽しむ必要がある」とし、それを伝える手段が「笑顔」だと指摘します。   笑顔でいれば、相手も楽しい気持ちになります。人に好かれるための第2の原則は「笑顔で接する」ことです。

 第3 の原則として「名前を覚える」ことの重要性を強調します。名前は、当人にとって、最も快く、大切な響きを持つ言葉だからです。

 カーネギーはさらに第4 の原則として「聞き手にまわる」ことを定義します。本当に自分の言いたいことを聞いてもらうためには、まず相手の言い分を十分に聞き、相互に信頼感の持てる関係を作ることが大切というわけです。

 会話の際には、相手が好きなテーマを選んで話題にすることが距離を縮める近道です。カーネギーは第5の原則として「相手の関心を見抜いて話題にする」ことを挙げています。

 最後に第6 の原則として「心からほめる」ことの大切さを強調します。人間は誰でも、周囲のものに認められたいという願望を持ち、自分は重要な存在なのだと自覚したいのです。どんな人でも自分より何らかの点で優れており、学ぶべきところを備えていると思って接することが大切です。
(森下幸典著述より)

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2012/7/10「カーネギー著「人を動かす」〜3つの原則 避難せず、率直に評価、欲求を誘う〜

 カーネギーはまず「人を動かす3原則」について説明します。1つめの原則は「批判も非難もしない。苦情もいわない」です。カーネギトは「他人のあら探しは、なんの役にも立ない」と断言します。その理由についで「相手は、すぐさま防御体制をしいて、なんとか自分を正当化しようとするだろう。それに、自尊心を傷付けられた相手は。結局、はン更新をおこすことになり、まことに危険である」と説明します。他人の欠点を指摘して相手を嫌な気持ちにさせるくらいなら、自分の欠点を改める方が得で危険も少ないと考えます。

 2つめは「率直で、誠実な評価を与える」という原則です。カーネギーは「人を動かすには、相手の欲しがっているものを与えるのが、唯一の方法である」と語りますやそして「人は、何を欲しがるのか」という問いに対して「自己の重要感である」とし、「人間の持つ性情のうちでもっとも強いものは、他人に認められることを渇望する気持ちである」という米国の哲学者・心理学者のウィリアム・ジェームズの言葉を引用します。

 3つめは「強い欲求を起こさせる」という原則です。カーネギーは「客というものは自分で買いたいのであって、売りつけられるのはいやなのだ。それにもかかわらず、セールスマンの大多数は、客の立場で考えて売ろうとしない」と指摘します。相手が何を欲しがり、それがどうやつたら手に入るかを教え、相手に強い欲求を起こさせることが、人を動かす最善の方法なのです。
(森下幸典著述より)

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2012/7/ 3 「ビジョナリー・カンパニー」〜従業員に良い規律を〜

 「ローマは一日にして成らず」。このことわざが示すように、時代を超えて輝き続ける偉大な企業になるための決定打や奇跡の瞬間はありません。一歩ずつ、粘り強く、責任をもって仕事を成し遂げていく「規律」が必要です。実際、偉大な企業には、驚くほど勤勉で徹底して仕事に取り組む人が大勢いるものです。

 コリンズは「よい規律」と「ダメな規律」について説明します。ダメなタイプの1つめは、官僚的な規則や管理による規律です。こうした規律は起業家精神を失わせてしまいます。2つめのダメなタイプは強権的な経営者の下でもたらされる規律です。その経営者が去った途端、たがが緩んでしまうからです。

 一方、よい規律は、わざわざ規則など定めなくても、従業員が自律的に行動する「規律の文化」とも呼べるものです。コリンズは企業家精神と規律の文化の2つを備えた組織を「偉大な組織」と定義します。

 規律の文化をつくるにはまず、基本理念に沿って自ら行動できる従業員を育成することが重要です。次に仕事の基本的なシステムやプロセスを確立し、それを順守した事業運営をしなければなりません。しっかりした仕事や事業の「枠」があるからこそ、その中で個々の従業員は自由と責任を両立できるのです。

 事業戦略にも規律が必要です。コリンズは、経営者が最も避けるべきなのは根拠のない楽観主義だと指摘します。そのうえで、@自社が世界一になれるA 経済的原動力になるB情熱を持って取り組める―― という3つの要件を満たした事業に取り組まなければならないと主張します。

 どんなに利益を上げていても、3つの要件を1つでも満たさない事業は捨てる規律が必要といいます。その理由について「偉大な企業は、機会が不足して飢えるのではなく、多すぎる事業機会に消化不良になって苦しむ」からだと説明します。

(森健太郎著述より)

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2012/6/ 26 「ビジョナリー・カンパニー」〜偉大な企業のリーダー〜 

 コリンズは2001年に「ビジョナリー・カンパニ12」を発表し、普通の企業が時代を超えて輝き続ける「偉大な企業」へ飛躍するための道筋を論じました。そこでのキーワードは「GoodはG reatの敵」です。偉大な企業が数少ないのは、多くの企業が既に「よい企業」という立場に安住しているからだ、という意味を込めています。

 よい企業に安住している状態から抜け出し、飛躍のきっかけをつくるのは、″野心″あふれる最高経営責任者(CEO)の登場です。調査対象の全ての躍進企業に共通して見られます。

 ところが、そのCEOの退任後に、これら躍進企業の行く末は2つに分かれます。偉大な企業に向かって飛躍を続ける場合と、一台限りでどこにでもある会社に後戻りしてしまう場合です。

 後戻りしてしまう企業のCEOは、カリスマ的だが個人としての野心が強く、「群れの中で自分が一番大きな犬でなければ我慢できない」タイプのりーダーです。この夕イプのリーダーが去った企業は往々にして衰退していきます。

 一方、よい企業を偉大な企業に導くCEOは、野心は偉大な企業のCEOと同じくらい強いものの、その目標は個人的な成功ではなく会社の成功に向いています。「私は幸運と素晴らしい人たちに恵まれた」が口癖で謙ヽ虚ですが、偉大な企業をつくるためならどんな困難も乗り越える不屈の精神を兼ね備えています。

 コリンズはこうした資質を持ったリーダーを企業幹部に見られる5つの水準の最高位にあると位置付け、「第5水準のリーダーシップ」と名付けます。個人としての謙虚さと経営者としての意志の強さという一見、矛盾した性格を持っている、と指摘します。

 第5水準のリーダーの真の力は、経営陣の人事についての厳格さに表れます。だからこそ、自らが去った後にも、偉大な組織と優秀な後継者を残すのです。
(森健太郎著述より)

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 2012/6/ 19 「ビジョナリー・カンパニー」 〜輝き続ける〜

 「一度成功したからといって、それを続けていてはならない。周囲の状況は常に変化しているからだ」。世界最大の小売リチエーン、米ウォルマート・ストアーズ創業者のサム・ウォルトン氏はこんな言葉を残しています。

 このような党悟は、時代を超えて輝き続けるビジョナリー・カンパニーに共通するものです。しかし、党悟だけでは企業は変わりません。コリンズは組織としての具体的な「仕組み」を重要視し、3つ挙げます。

 1つめは、日本企業のお家芸とされた「不断の改善」です。ここでまず注意すべきなのは、ビジョナリー・カンパニーの多くが残りの2つの仕組みも同時に取り入れていることです。

 2つめは、「たくさん試して、うまくいったものを残す」方法です。粘着メモ「ポスト・イット」で有名な米スリーエム(3M)が代表例です。技術者が勤務時間の一部を自分で選んだテーマや創意工夫に使える「15%ルール」や売上高に占める新製品比率で高い目標を掲げるなど、多くの挑戦を可能にする仕掛けを織り込んでいます。

 3つめが「社運を賭けた大胆な目標」です。米ボーイングが好例でしょう。経営陣は「不可能に近い」と思われるような大きな課題を技術部門に与え、自らも不退転の決意で経営資源を投入する。その結果、技術部門は奮起して、画期的な新型機「747」を開発しました。

 ソニーも唯一の日本企業として登場します。「我々は恐れを知らなかったので、大胆なことができた」。創業者の井深大氏の言葉が印象的です。

 これらの取り組みは、全てがうまくいくわけではありません。事実、ビショナリー・カンパニーの大半が、過去に何らかの危機に陥っています。

 それでも進歩への情熱を絶やさず、逆境から必ずはい上がってくる「ずば抜けた回復力」こそが、「偉大な企業」とされるゆえんなのでしょう。

(森健太郎著述より)

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2012/6/ 13 「ビジョナリー・カンパニー」偉大な企業の基本理念

 時代を超えて輝き続ける「偉大な企業」は、そうでない企業と何が違うのか。この問題を解き明かそうとしたのが、米経営学者のジェームズ・C・コリンズらが書いた「ビジョナリー・カンパニー」です。1994年に出版されて以来、世界中の経営者に読まれてきました。

 米ゼネラル・エレクトリック(GE)、IBM、ボーイングなど偉大な企業として登場する18社は、いずれも経営者や主力商品の交代を重ねてきました。コリンズはまず各社の特徴として「進歩への飽くなき情熱」を挙げる一方で、それぞれが守り抜いてきた基本理念を持つと指摘します。「基本理念を維持し、進歩を促す」というのが本書の中心テーマです。

 基本理念がなぜ重要なのでしょうか?ます企業が発展するのに伴って、「大組織化」「多角化」「グローバル化」「人材の多様化」などを通じて遠心力が高まりますが、基本理念が組織を東ねる「求心力」となります。

 加えて、基本理念は社員一人ひとりの「判断軸」となるため、細かい規則や管理を必要とせず、自主自律と起業家精神を育みます。

 また、利益を超えた目的と存在意義を示すことで、事業領域を広げていく際の「道じるべ」となるとともに、大胆な挑戦を促す「奮い立つ勇気」を生み出します。

 さらに、基本理念があるからこそ、経営者や事業などそれ以外の要素を変えても、企業としての「継続性」を確保できるのです。

 コリンズは、基本理念の構成要素を「基本的価値観」と「目的(存在理由)」に大別しますが、18社に共通する項目は一つもないと指摘します。

 内容よりも、組織に本当に浸透しているかどうかが重要と考えます。そのうえで、基本理念を「慣行」や「前例」と混同じてはならないと注意を促します。混同すると前例などにしがみつくことになり、組織が硬直してしまうからです。
(森健太郎著述より)

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2012/6/ 5 「イノベーションのジレンマ」〜顧客視点で理論構築〜

 クリステンセンは「イノベーションのジレンマ」で、理論について「ある行動が引き起こす結果とその理由を説明するもの」と定義します。さらにその定義に基づいて「どのような条件下で、何が、何を、なぜ引き起こすのか」を詳しく解明しようと試みます。それによって、ある結果を避けるための行動を考えやすくなるとみたのです。

 クリステンセンがイノベーションについての理論を詳しく解明するうえでカギになったのは、「3つの仮設です。具体的には@ イノベーションは(既存製品の改良など)持続的なタイプと(それまでのリーダー企業にとって脅威となる)破壊的なタイプに分類できるA破壊的なタイプは持続的なタイプが生み出した市場のほとんどを代替するB既存企業は株主と顧客の要求に合理的に対応しょうとするがゆえに、破壊的なタイプにうまく対応できないというものです。

 ここで注目すべきなのは、クリステンセンがそのときの大半の顧客の二―ズに沿っているかどうかでイノベーションを分類したことです。これまでのイノベーションの多くの分類方法が技術の革新度合いを判断基準としていたのに対し、顧客の視点から見た点で独創的なものでした。

 持続的イノベーションは、大半の顧客が要求してきた性能を継続的に高めていくものです。これに対してヽ破壊的イノベーションは、短期的には「製品の性能を引き下げる」側面を持っています。それでも一部の新しい顧客に評価されるうちに、やがて他の顧客にも画期的な低価格や使い勝手のよさをもたらします。

 この新しい分類に基づいて、クリステンセンは、既存企業は破壊的イノベーションにうまく対応できないと予測します。その予測ができたからこそ、企業は一既存組織とは別の組織で破壊的イノベーションに取り組むしかない。という処方婆を示すことが可能だったのです。
(根来龍之氏著述より)

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2012/5/ 29 「イノベーションのジレンマ」リーダー企業への脅威(察知しにくい新市場型)

 クリステンセンは「イノベーシヨンのジレンマ」の続編「イノベトションヘの解」で、リーダー企業を脅かす破壊的イノベーションには2種類あると述べています。「ローエンド型破壊」と「新市場型破壊」です。

 ローエンド型破壊とは、「過保護の顧客」に従来より性能などの低い製品・サービスを低価格で販売することで新規参入するイノベーションのこと。過保護の顧客とは、既存の製品・サービスの性能などが、彼らにとっての「満足レベル」を超え、過剰になっている人たちを指します。デパートをサービス過剰と感じる顧客に向けてセルフサービスのビジネスモデルを取り入れ、小売りの主役の座を奪ったスーパーがローエンド型破壊の一例です。は、カテゴリー別ディスカウンターもローエンド型破壊のイノベーターと位置づけられます。

 一方、新市場型破壊とは、従来の製品・サービスにない性能などを提供することで新たな需要を創り出すイノベーションのことです。デジタルカメラは「その場で見られる」「パソコンに保存できる」という新しい性能を提供することで、従来のカメラとは異なる需要を創造しました。

 どちらのイノベーションも、最初は既存の製品・サービスに比べ性能などが劣るものの、次第にレベルを高めて市場の主役の座を奪う可能性をもちます。しかし、ローエンド型破壊が当初から既存市場を奪うライバルであるのに対して、新市場型破壊は同じ脅威があるとはなかなか意識されません。最初は「無消費」、すなわち既存の製品・サービスを消費していない人に訴求するものとして出発するからです。

 この種の新しい製品・サービスのすべてが既存市場を奪うものに成長するわけではありません。特殊なニ−ズに応えるニッチ製品として存在し続けるにすぎないものもあります。このため、既存企業は新市場型破壊の製品・サ−ビスの脅威を小さく見積もりがちです。
(根来龍之氏著述より)

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2012/5/ 29 「イノベーションのジレンマ」〜新技術、既存と別の組織で

 クリステンセンは「主流市場の競争力を保ちながら(既存の製品・サービスにとって脅威となる)破壊的技術を的確に追求することは不可能である」と主張します。多くの企業は、既存の製品などを改善しながら、同時に破壊的技術も追求しようとします。これが失敗の原因だというのです。

 その理由をクリステンセンは「不均等な意欲」に求めます。既存の製品・サービスの利益率が高く顧客の大半がそれを求めているうちは、破壊的技術は組織内の資金と人材を十分集めることができません。組織内で、既存の製品などに対する意欲と、破壊的技術に対する意欲が「不均等」であるがゆえに、企業は対応が遅れるというのです。これは経営者だけではなく、現場のマネージャーがそのようなタイプの顧客や製品が企業にとって最も利益になると理解しているかに左右されます。

 顧客が求めるものに応え、収益性の高いプロジェクトに参加すると、組織内で成功しやすくなります。こうした成功追求のメカニズムが資源配分プロセスに重要な影響を与え、破壊的技術への注力を妨げるのです。

 これを防ぐ方法は、別々の組織で、別々の顧客を追求することだというのが、クリステンセンが示す処方箋です。

 米IBMは、パソコン業界に参入し当初は大きな成功を収めました。これはニューヨーク州の本社から遠く離れたフロリダ州に、独自の部品調達網や販売チャネルをもとに競争上のニーズに適したコスト構造を自由に形成できる自律的な組織を新設したためだとの指摘があります。

 IBMがその後、パソコン市場の収益性と市場シェアを維持できなかった大きな要因は、同社がパソコン部門と主流組織を緊密に連携させると決めたことにその原因があるとされているのです。
(根来龍之氏著述より)

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2012/5/ 16 「イノベーションのジレンマ」〜「正しい選択」が招く宿命的衰退

 優れた経営学理論は、意外性と納得感の両方をもつものです。意外性がないと「当たり前」になってしまいますし、意外性はあっても「それは特殊ケースにしか合致しない」と思わせるものは優れた理論とはいえません。

 ハーバード・ビジネススクールの看板教授の一人であるクリステンセンが書いた「イノベーションのジレンマ」は、まさに意外性と納得感の両方をもつ優れた経営学理論を展開した本です。

 クリステンセンは「偉大な企業は正しく行動するがゆえに、やがて市場のリーダシツプを奪われてしまう」と主張します。既存のリーダー企業は、間違った意思決定をするから失敗するのでもなければ、新しい技術の出現に気づかなかったから市場を奪われるわけでもない。つまり「愚かだから失敗する」のではないと言うのです。

 写真フィルム業界の世界的巨人であったコダックの経営破綻を、クリステンセン理論に基づいて説明するならば、コダックは「フィルム技術を改善する」という正しい行動をしたがゆえに、デジタルカメラの波に乗り遅れたわけです。

 ではリーダー企業はなぜ正しく行動するがゆえに失敗するのか。3つの観察が前提になっています。

 まず一般にイノベーションによる性能改良は、顧客の要求(ニ―ズ)の上昇よりもはるかに速いペースで進む。

 次に従来の技術(持続的イノベーション)では実現できない収益力の向上や新機能をもたらす技術(破壊的イノベトション)が生まれる。

 最後に、破壊的イノベーションによる製品は、既存製品に比べてコストが安いが、最初は性能が劣っている。このため既存顧客のニーズを満たせず、最初は収益性も低いという観察です。

 これらの観察からクリステンセンは、既存企業が追求する持続的イノベーションと新規企業による破壊的イノベーションがもつ特性が、宿命的にリーダーの交代をもたらすと主張するのです。

(根来龍之氏の執筆より)

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2012/5/ 1 「失敗の本質」 「戦略」「組織」の両面から学ぶ

 戦略面での日本軍の失敗要因は「戦略目標のあいまいさ」「戦略のグランドデザインの欠如」「システム志向や戦闘技術体系のバランスの欠如」の3点でした。

 日本軍の組織面での失敗要因は「組織内の人間関係を重視する情緒的な集団主義」、「複数の軍事組織を統合するシステムの欠如」「学習の軽視」「個人責任の追及の甘さ」の4点でした。

 企業がこれらの課題を乗り越える上では、ハード(組織・プロセス・基準)とソフト(価値観・企業文化)両面の改革が必要です。特に「目的達成のために合理的に判断し行動する」企業文化を作り上げるためには、会議体や意思決定の仕組みを「合目的性」を軸に再整備し、全社の意識変革を促していくといった取り組みが求められます。

 組織の学習能力は、環境変化に適応し戦略を進化させるために不可欠です。戦略や計画の失敗原因をしっかり検証せずに、新たな戦略に飛びついても、勝率は上がりません。(梅沢高明氏の執筆より)

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2012/4/23「失敗の本質」に学ぶ〜学習軽視などの4つの欠陥〜

 「失敗の本質」では、組織特性の面でも日本軍の問題を鋭く指摘します。

 1点目が、組織目標の達成よりも、組織内の人間関係を重視する情緒的な「日本的集団主義」です。例えばノモンハン事件では、現地軍の体面を重んじて、中央部による作戦終結の方針決定が遅れ、不必要な戦線拡大と資源の浪費につながりました。

 また、陸軍大学校卒のエリート参謀は、しばしば正式な指揮命令系統を無視して指揮権に介入します。このような属人的な意思決定の横行やお互いの体面への配慮は、根回しや腹の探り合い抜きには意思決定が進まないという、軍事組織として致命的な欠陥をもたらしました。

 2点目が、複数の軍事組織を「統合するシステムの欠如」です。米軍では、陸0海軍の参謀組織を統括する統合参謀本部が設置され、これを大統領が直接指揮しました。一方、日本軍の大本営では陸・海軍の協議が調わない場合に裁定を下せるのは天皇だけでしたが、「天皇は個別の問題に対して、進んで指揮、調整権を行使することはなかった」とされます。

 3点目が「学習の軽視」です。米英の誇る艦隊を航空攻撃で撃破したのは日本軍です。しかし、これらの敗退から学習したのは米軍でした。彼らは、それまでの大型戦艦建造計画を中止し、航空母艦と航空機の生産に全力を集中、次第に優勢な機動部隊をつくり上げていきます。

 対する日本軍は、精神力の優位性を強調し、過去に成功した勝ちパターンを教条的に繰り返しますが、対応策を進化させた米軍に阻まれて失敗を重ねます。「失敗した戦法、戦術、戦略を分析し、その改善策を探求し、それを組織の他の部分へも伝播していくということは驚くほど実行されなかった」と本書は厳しく指摘します。

 4点目が「個人責任の追及の甘さ」です。明らかに無謀な作戦を主導したケースでも、積極論者の過失に対して軍部は寛大でした。「個人責任の不明確さは、評価をあいまいにし、評価のあいまいさは、組織学習を阻害し、論理よりも声の大きな者の突出を許容した」のです。
(梅沢高明氏の執筆より)

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2012/4/16「失敗の本質」に学ぶ 〜システム思考〜

  「失敗の本質」では、日本軍のバランスを欠いた戦闘技術体系やシステム思考の欠如が、軍事システム総体としての競争劣位を招いたことを分析しています。海軍を例に問題点を検証しましょう。

 1つ目が、兵器の体系のアンバランスです。海軍は世界最大級の戦艦「大和」「武蔵」を建造しました。しかしヽそれ以外の艦艇や爆撃機・偵察機の多くが旧式で性能が低く、艦隊としての組織戦の能力に劣ったため、大和・武蔵ともに持てる力をついぞ発揮することなく海底に沈みます。

 2つ目が防御の軽視です。航空母艦、戦闘機(攻撃機などの多くが、次撃力を車視する上方で「防御という点では技術的に見て著しく不備」でした。ぎりぎりの軽量化で世界最高のスピードを誇りながら防御に弱かった「零戦」がその典型です。

 3つ目が情報・諜報(ちょうほう)活動の軽視。日本軍は、無線、レーダーなど通信・捜索システムの整備と運用で劣り、ミッドウェー海戦では暗号解読により日本軍の行動を察知した米軍が、先制攻撃を通じて勝利します。

 4つ目が燃料補給など兵たんの軽視です。「海上交通保護の軽視によって、輸送途中の貴重な兵員や物資をやすやすと敵潜水艦や航空機の攻撃にさらし、しばしば作戦遂行に甚大な支障をきたした」のです。

 兵器のサプライチェーン(供給網)にも課題がありました。太平洋戦争の期間を通じて、日本の主要艦艇の建造数は米国の 約4分の1。航空機の生産量は米国の2〜 3割でした。しかし本書は「兵備生産量の差を物理的な面での国力の差のみに還元することは正しくないJと論じます。

 米軍は太平洋戦争が一大消耗戦であり、兵器を大量に生産し続ける必要があると認識し、兵器の開発では徹底した標準化と量産化を追求しました。そのため、艦艇の種類も絞り、できるかぎり設計変更せずに同型艦を大量生産します。一方、日本は「一品生産的なつくり方」でした。攻撃、防御、情報、補給をトータルで考えて技術体系や体制を構築しなかった日本は、システムの総合力で米軍に敗れたといえます。
(梅沢高明氏の執筆より)

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2012/4/15人事労務管理とは?

  人事労務管理とは、企業の経営資源のヒト(労働力)・モノ(生産手段……設備や原材料など)・カネ(資本)の3要素のうち、ヒトを対象とする管理活動である。ここでの「管理」とは、自ら意思を持ち活動する人間を、企業目的の達成のために制御・統制することである。

黒田・関口他『現代の人事労務管理』による区分

人事管理(personnel management)

雇用管理

採用、配置、職務分析、人事考課など。良質な労働力の確保や適材適所の配置を目指す。

□作業管理

時間研究・動作研究、職務再設計など

□時間管理

労働時間制度(変形労働時間制など)や休業・休暇のシステムの構築など。

□賃金管理

職能給、出来高給、年俸制、退職金、各種手当など、賃金制度に関する管理。

□安全・衛生管理

労働災害や従業員のモチベーション低下を防止することを目的として、職場の労働環境の改善や、従業員の健康管理を図る。日本においては、労働安全衛生法にて、事業者に衛生管理の実施を義務付けている。

□教育訓練

研修、OJT、ジョブ・ローテーション、資格取得勧奨等の自己啓発推進など。労働力の質を向上させる。

労使関係管理 (industrial relations)

□労働組合対策

団体交渉労働協約など。労使協調体制を目指す。

□従業員対策

福利厚生、苦情処理制度など。従業員個々人の不満を取り除く。

【ウィスペキア フリー百科事典より】

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2012/4/ 9ハワード・シュルツ「人材への投資」

 シュルツはCEO復帰の直後、幹部陣にこう伝えています。「業績好転を成し遂げる自信はあります。(中略)そして(みなさんは)スターバックスの使命を成し遂げる自信があるかどうかを自分自身に問いただしてみてください」。

 この考えに同意できない場合は即座に会社を去るよう、シュルツは丁重に依頼しました。実際、彼が08年にCEOに復帰してから半年以内に大半の幹部が入れ替わりました。

 同時に、シュルツは米国内の7100店舗を3時間閉鎖し、従業員全員に完璧なエスプレッソを作るための再研修を施しました。 彼はこれによって、短期的に損失が出ることは理解していたが、長期にわたって組織の健全性を確保するためにはそのリスクを冒す価値はあると判断したのです。

 また、金融危機の真っただ中だったこの時期に3000万円ドルをかけて8000人の店長と2000人の従業員を集め、決起集会「り‐ダーシップカンファレンス」を開催しました。

 シュルツは会社を再建するためには、人材への投資が重要だと確信していました。グローバル化した環境では競合者は簡単に相手の成功パターンをコピーできますが、社員同士の接し方や働き方といった企業固有の文化は短期間でコピーすることはできないからです。
(ブライアン・ソーズバーグ氏の執筆より)

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2012/4/3「失敗の本質」に学ぶ  〜時代遅れの「成功体験」

 太平洋戦争当時の日本陸軍は「作戦要務令」において「戦略ではなく「戦闘」重視の志向を明確に打ち出しています。戦闘において中核となる思想は「白兵戦思想」でした。「陸上戦闘において戦勝を獲得するカギは、白兵戦における最後の銃剣突撃にある」というものです。

  白兵戦ヘのこだわりは、西南戦争(1877年)での薩摩軍の突撃、日露戦争での二〇三高地の肉弾攻撃による勝利(1904年)など、過去の戦闘の経験から形成されたものでした。

  陸軍はこの白兵戦のパラダイムを太平洋戦争末期に至るまで維持し、さらに軍事力の量的・質的劣位もあって「必勝の信念Jという精神主義に傾倒していきます。

  海軍の戦略パラダイムは大艦巨砲(巨大な大砲を積んだ大型戦艦)を主力に据えた艦隊によって雌雄を決するという「艦隊決戦主義」でした。

  日本海海戦(1905年)でバルチック艦隊に圧勝した瞬間が「艦隊決戦に勝利を得れば、戦争そのものの帰趨にも決定的な影響が与えられるという艦隊決戦主義の誕生であった」としています。

  艦隊決戦で決着がついた作戦は一つもなかったとされます。ほとんどの作戦において、陸・海・空軍の連携プレーや情報戦の巧拙が、勝敗を分ける分岐点となっています。

 日本軍の戦略パラダイムが、兵器や戦闘技術体系の進化の結果、完全に時代遅れになっていたことは明らかです。

  企業においても過去の成功体験に基づいて形成され、組織に共有される「戦略パラダイム」が、事業環境と合わなくなっているケースが少なくありません。振り返ってみる必要があるかも知れません

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2012/3/28 「失敗の本質」に学ぶ

 寺本義也、野中郁次郎ら6人の著者による「失敗の本質」は、太平洋戦争における6つの作戦における日本軍の失敗を緻密に分析した事例研究です。

 本書は日本軍の失敗を戦略と組織の2つの側面から指摘します。戦略上の失敗は、曖味な戦略目標、主観的で「帰納的」な戦略策定など5点。組織上の失敗は、人的ネットワーク偏重の組織構造、学習を軽視した組織などの4点に集約されます。

 「戦略上の失敗」で致命的だったのは、明確な戦略目標と戦略のグランドデザインの欠如でした。開戦時点で、日本は太平洋戦争の到達目標をどう定義していたかということです。

 本書では「ある程度の人的・物的損害を与え南方資源地帯を確保して長期戦に持ち込めば、米国は戦意を喪失し、その結果としての講和がなされようという漠然たる」目標しかなかった、と分析しています。

 一方の米国は、日本本土への直接上陸作戦による戦争終結を目標とします。そのために「中部太平洋諸島を制圧して前進基地を確保する。同時に封鎖によって日本の補給線を断つ。最終的には日本本土を空襲し、軍事抵抗力を破壊する」という明確な戦略を、開戦後まもなく打ち立てます。

 目的の曖昧な作戦が失敗するのは、企業経営においても同じです。本書で取り上げた6つの作戦には「いくつかの陸海協同作戦も含まれていたが、往々にして両者の妥協による両論併記的折衷案が採用された」と述べられています。

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〜過去の記事〜

 2012/ 3/12 シュルツ(スターバックス)の教訓 “イノベーションを止めてはならない” 
 2012/ 3/ 5 ハワード・シュルツ    “創造的破壊を受け入れる” 
 2012/ 3/ 2 ハワード・シュルツ  “ミッション・ステーツメントに反すること”
 2012/ 2/ 7 ジャック・ウェルチ   “戦略はシンプルに”
 2012/ 2/ 4 ジャック・ウェルチ “成功へ導く8つの秘訣”
 2012/ 1/30 ジャック・ウェルチ “現実をよく知ること”  
 2012/ 1/23 ドラッカー 「何によって覚えられたいか」
 2012/ 1/22 ドラッカー 「プロフェッショナルの生産性」
 2012/ 1/18 ドラッカー トップマネージメントが機能するには?
 2012/ 1/17 ドラッカー 管理職とは、「組織の成果に責任をもつもの」
 2012/ 1/13 ドラッカー 「企業の目的は、顧客の創造」
 2012/ 1/12 マズローの「欲求5段階説」を「仕事の内容」に置き換える

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